「離脱」の線を90日に置いていませんか
顧客分析の「アクティブ」を何日で切るかで、離脱客の数も、追いかける相手も、広告の評価も変わります。店ごとに正しい日数は違う。その決め方と、90日のまま運用したときに何が起きるかを実務の式で。
顧客分析の画面には、たいてい「アクティブ顧客」という数字が出ます。その裏には必ず「何日来ていなければ離脱とみなすか」という線が引かれていて、多くの場合それは 90 日です。
その 90 日は、どこから来た数字でしょうか。
たいていは誰も決めていません。作った側が置いた初期値が、そのまま何年も使われている。そしてその線の位置が、離脱客の人数も、追いかける相手も、広告の評価まで動かします。
線を動かすと何が動くか
同じ台帳、同じお客様で、線だけを変えたときに変わるものを並べます。
| 変わるもの | 線を短くすると | 線を長くすると |
|---|---|---|
| 離脱客の人数 | 増える | 減る |
| アクティブ客の人数 | 減る | 増える |
| 追いかける相手 | まだ来る人まで追う | 手遅れになってから追う |
| 客単価(アクティブ平均) | 下がる | 上がる |
| 媒体別の評価 | 短期の媒体が有利に | 長期の媒体が有利に |
最後の行がいちばん効きます。 線が短いと、来店間隔の長いお客様を連れてくる媒体が「リピートしない媒体」に見える。実際にはその媒体がいちばん良い客を連れてきていた、ということが普通に起きます。
正しい線の決め方
推測ではなく、自店の実測から引きます。式は一つです。
来店間隔 = 再来店したお客様の「前回から今回まで」の日数
これを全件並べて、分布を見ます。 平均ではなく分布です。平均は少数の毎週来る常連に引っ張られて、実態より短く出ます。
見るのは中央値と、その先
中央値 …半分のお客様がこの日数以内に再来店する
75パーセンタイル …4分の3がこの日数以内
90パーセンタイル …9割がこの日数以内
線を置くなら 90 パーセンタイル付近です。 ここを超えて来ていない方は、統計的に「いつものパターンから外れた」と言える。中央値に置くと、まだ普通に来る予定だった方の半分を離脱扱いにしてしまいます。
業態で答えが違う
同じナイトレジャーでも、来店間隔は業態でまったく違います。
週次で通う常連が中心の店なら、90 日はあまりに長い。60 日来ていない方はとっくに離れていて、90 日待った時点で手遅れです。
四半期に一度の接待利用が中心の店なら、90 日は短すぎる。まだ普通の周期の中にいる方を「離脱」として一斉に追いかけることになり、施策の精度も、お客様側の印象も落ちます。
店舗ごとに違う数字を、一つの初期値で運用している。 これが実態です。
90 日のままにしておくと起きること
一 追う相手を間違える
離脱リストが「まだ離脱していない人」で埋まると、施策の効果が測れなくなります。何もしなくても戻ってきた方を「施策で戻した」と数えてしまう。施策の良し悪しが永久に分からなくなるのがいちばんの損です。
二 本当の離脱に気づくのが遅れる
逆向きの失敗です。来店間隔が短い店で 90 日待つと、離脱と分かった時にはもう他店に移っています。**この業界で戻ってくる確率は、離れてからの日数でかなり急に落ちます。**気づくのが 30 日早いかどうかは、実務では大きな差です。
三 媒体の評価が歪む
前述のとおり。線が短ければ短期の媒体が有利に、長ければ長期の媒体が有利に評価されます。 広告費の配分を左右する数字が、誰も決めていない初期値で決まっている状態です。
決めたあとにやること
線は一度決めて終わりではありません。
再来店の分布は 季節でも 客層でも 動く
⇒ 四半期に一度 引き直す
⇒ 客層を分けて 別々の線を持つ(新規/常連/法人)
**特に新規と常連は分けたほうがいい。**初回来店から二回目までの間隔と、常連が空ける間隔は別の分布です。同じ線で切ると、初回のお客様の大半が離脱扱いになります。
私たちのシステムの話
タステックはナイトレジャー向けの予約・顧客管理システムです。作ったのは、この業界で 16 年 店舗を運営し、年商 2 億から 12 億へ伸ばした側です。他社はどこも IT 会社が作っています。この業界の数字を、外から想像して作ったものではありません。
顧客分析には、来店履歴・来店間隔・離脱判定・客層別の分析が入っています。この記事に書いた「線の引き方」は、実際に運営していたときに使っていた考え方そのものです。
正直に書いておくと、**現在の顧客分析は 90 日を初期の線として使っており、店舗ごとに変更できるようにする作業を今まさに進めています。**この記事に書いたとおり、正しい線は店ごとに違うからです。
他社が出していない数字
顧客分析の先に、タステックだけが出力するものがあります。
媒体ごとに、来月いくらまで広告費を出してよいかを「金額」で出します。
グラフではありません。金額です。各媒体が実際に連れてきたお客様の生涯価値に、自店の利益率を掛けて、上限額を出す。その数字を持って媒体との交渉に行けます。
来店間隔の線を正しく引く意味は、ここに直結します。線が歪んでいると、生涯価値が歪み、広告費の上限額が歪みます。
ChatGPT から聞けます
タステックは MCP で ChatGPT につながります。店の数字を会話で聞いて、会話で返ってきます。「先月の媒体別は」「いつもの周期を過ぎているお客様は」——画面を開かず、レポートの置き場所を覚える必要もありません。
ナイトレジャーWEB の実測で、この実装は業界初です。 ChatGPT 専用でもありません。同じ手順でどこからでも叩けます。
このほか、受注・配車・キャストシフト・ドライバーシフト・精算・CTI連携(着信と予約画面が繋がっています)・会計分析まで一つの画面にあります。多言語も実装済みです。
2店舗まで月額 5,000円(約 $34)から。全プラン 30日間 無料、いつでも解約できます。 → 料金
今週やること
- 再来店の間隔を全件出す。 台帳にあるはずです。平均ではなく分布で。
- 90 パーセンタイルを見る。 そこが自店の線の候補です。
- 新規と常連を分けて、もう一度出す。 たいてい別の数字になります。
- いまの離脱リストを、新しい線で作り直す。 人数が大きく動いたら、それが今まで間違えていた分です。
- 媒体別の評価を、新しい線でやり直す。 順位が入れ替わる可能性があります。
広告費の上限額の計算は、登録不要でサイトに置いてあります → 広告予算の計算(英語頁)。どこにも送信されません。
数字について。 この記事には業界平均の来店間隔や離脱率を載せていません。そう言える実測を私たちが持っていないためで、業態と価格帯で幅が大きすぎ、範囲を出せば精度を発明することになります。自店の直近の実測が、唯一その店を説明する基準です。