送迎の範囲を 超えた時、誰が 出張費を 決めるか
「そこまでは行けません」と断るのか、追加をもらって行くのか。範囲の外から依頼が来た時、ドライバー・受付・責任者の誰が決めるかを書いていない店が多い所です。距離の測り方、追加額の置き方、キャストの取り分、断る時の言い方まで整理しました。
「あと 10 分ぐらいのところなんですけど、行けますか」
この電話に、その場で答えられますか。
多くの店で、答えるのは電話を取った人です。受付が答えれば「行けます」、ドライバーが答えれば「無理です」。同じ店で答えが割れます。
要点
- 範囲を決めていない店は、遠い所へ行き続けます
- 範囲を決めても、超えた時の扱いを書いていないと同じことが起きる
- 追加額は「距離」ではなく 戻りの時間で置くと合う
- 出張費のキャストの取り分は、基本の率とは別に決める
- 断る言い方を決めておくと、断った時に揉めません
1 行で言うと
| 決めておく事 | 書いていないと何が起きるか | |
|---|---|---|
| 範囲 | どこまで行くか | 遠い所へ 行き続ける |
| 超えた時 | 行くのか 断るのか | 取った人によって 答えが割れる |
| 追加額 | いくら もらうか | ドライバーが その場で 言う |
| 取り分 | キャストへ いくら | 後で 揉める |
| 断り方 | 何と 言うか | 断り方で 揉める |
**2 行目が抜けている店がいちばん多いです。**範囲は決めたのに、超えた時をどうするか書いていない形です。
範囲そのものの決め方
範囲を「地名」で決めると、地名を知らない人が判じられません。
🔴 ○○市まで …市の端から端で 30 分 違う
🔴 車で 20 分まで …時間帯で 変わる
⭕ 店から 8km まで …誰でも 同じに 測れる
**地図の上で 1 本の円になる形にします。**受付が判ずる時に、迷いが出ません。
範囲そのものをどう引くかは 送迎は どこまで行くか に書きました。この記事はその外から来た時の話です。
超えた時に 決める 3 つ
一 行くか 断るか ── 誰が決めるか
⭕ 決めておく …「範囲の外は 受付が 判ずる。ドライバーは 判じない」
🔴 その場 …ドライバーが 断る/受付が 安請け合いする
⚠️ **ドライバーに判じさせると、断る方へ寄ります。**戻りの時間を体で知っているためです。受付に判じさせると、行く方へ寄ります。売上が見えているためです。
⇒ どちらか一方に寄せて、基準を渡します。
二 何を見て 判ずるか
判ずる基準は 1 つで足ります。
その 1 本を 受けると、次の 1 本が 落ちるか
落ちないなら行く。落ちるなら、落ちる分より追加が大きいかを見る。
⚠️ **距離では判じられません。**同じ 12km でも、空いている時間なら痛くなく、混んでいる時間なら 2 本落ちます。
戻りの時間が売上をどう決めるかは 配車で売上を決めているのは「戻りの時間」です に書きました。
三 いくら もらうか
追加額は 落ちる本数から逆に出します。
1 本あたりの 粗利 …例 8,000 円
範囲の外へ 行くと 落ちる本数 …1 本
⇒ 出張費の 下限 …8,000 円
距離で刻むと、この数と合いません。「5km ごとに 1,000 円」のような置き方は分かりやすいのですが、戻りの時間とは比例しません。
| 置き方 | 分かりやすさ | 実際と合うか |
|---|---|---|
| 距離で刻む | 高い | 合わない(渋滞で 倍 変わる) |
| 範囲の外は 一律 | 高い | まあまあ |
| 落ちる本数で 置く | 低い | 合う |
⇒ **お客様へ見せるのは「範囲の外は一律 ○円」。店の中で持つのは「落ちる本数」。**2 つを分けると、両方の良い所が取れます。
キャストの取り分を 先に決める
出張費をキャストへいくら渡すかは、基本の率とは別の話です。
🔴 出張費にも 基本の率を 当てる …遠い所を 嫌がる理由に なる
⭕ 出張費は 全額キャスト …遠い所も 受ける動機が 立つ
⭕ 出張費は 折半 …中間
⚠️ **遠い所へ行くと、キャストの拘束時間も伸びます。**移動の時間は、キャストにとって稼げない時間です。そこへ何も乗せないと、断られます。
層ごとに率を分ける考え方は バック率は 1 つの数ではない にまとめました。出張費は 4 層のうちオプションに近い扱いになります。
ドライバーの側も 決める
出張費はキャストだけの話ではありません。
一 ドライバーへ 出すか(時給の中か、1 本ごとに 足すか)
二 ガソリン代・高速代は 誰が 持つか
三 戻りが 深夜に 掛かった時の 扱い
⚠️ 二を決めていない店が多く、ドライバーが立て替えたまま溜まります。
立て替えの溜まり方は 立替が 精算されないまま 溜まる に書きました。高速代はこの形になりやすい所です。
ドライバーの原価を 1 本いくらで見る危うさは ドライバーの原価を「1 本いくら」で見ていると、人を減らす方へ効きます に分けて書きました。
断る時の 言い方
断ることそのものより、断り方で揉めます。
🔴「そこは 行けないです」 …理由が 無く、拒まれた形に なる
🔴「遠すぎるので」 …どこからが 遠いのか 分からない
⭕「申し訳ございません。ご案内できる範囲を
店舗から ○km までと させて頂いております」
範囲を数で言うと、断られた側も納得します。「遠い」は人によって違いますが、8km は誰にとっても 8km です。
断った後に 足す 1 行
「近いエリアでご利用いただける店舗を お探しでしたら、
お調べしてご案内いたします」
⚠️ 同じグループに近い店がある場合だけです。無いのに言うと、次の電話で困ります。
例外を 作る時
「今日だけ」「この人だけ」は必ず出ます。例外そのものは構いませんが、誰が決めるかを書いておきます。
⭕ 責任者が 決める。決めたら 記録に 残す
🔴 その場に 居た人が 決める。記録しない
⚠️ 記録しないと、次に同じ人から来た時に前回が分かりません。「前は行ってくれた」と言われて、そこから揉めます。
記録の残し方は トラブルの記録が無い店は、相手の記録だけで語られます と同じ考えです。
月に 1 回 数える 3 つ
一 範囲の外の 依頼が 何件 来たか
二 うち 受けたのは 何件か
三 受けた時、次の 1 本が 落ちたのは 何件か
**三が多ければ、追加額が安すぎます。**一が多ければ、範囲そのものが実情と合っていません。
⚠️ 一が多い店は、範囲を広げる前に なぜ遠い所から来るのかを見ます。近くに同業が無いのか、広告の出し方が広すぎるのか、で打つ手が変わります。
台数との関わり
範囲を広げると、同じ台数では回らなくなります。
範囲 8km → 12km ⇒ 1 本あたりの 拘束が 伸びる
⇒ 同じ本数を 回すには 台数が 要る
台数の決め方は 送迎を 何台で回すか に、相乗りで減らせるかは 送迎の相乗りは 得か損か に書きました。
**範囲を広げる判断は、台数の判断とセットです。**片方だけ動かすと、配車の順が回らなくなります。
配車の順そのものは 配車の順を どう決めるか に分けて書きました。
まとめ
- 範囲は 店からの km で引く(地名・時間で引かない)
- 超えた時に誰が決めるかを書く。ドライバーに判じさせると断る方へ寄る
- 判ずる基準は 1 つ ── その 1 本で 次の 1 本が落ちるか
- 追加額は 落ちる本数から逆算する。距離で刻むと合わない
- 出張費のキャストの取り分は、基本の率とは別に決める
- 断り方は 数で言う。「遠い」は人によって違う
**範囲を決めていない店は、遠い所へ行き続けます。**決めた後も、超えた時を書いていなければ同じです。