送迎の相乗りは 得か損か ── 台数を減らすと 何が増えるか
送迎の相乗りは車の台数を減らすが、待ち時間とキャンセルを増やす。どこまでが得で、どこから損になるか。判断に要る 3 つの数と、相乗りを止めるべき合図。
送迎を持っている店で、相乗りをまったくしない店はほとんどありません。
同じ方角なら 2 件まとめる。近い時間なら 1 台で回す。これは判断ではなく、たいてい癖です。
そして癖なので、どこまでやるかの線が決まっていません。
相乗りが減らすもの・増やすもの
減る …車の台数・ドライバーの人数・燃料
増える …1 件あたりの待ち時間・道中の時間・すれ違いの機会
台数は目に見えます。**待ち時間は目に見えません。**なので判断は片側だけを見て下されがちです。
判断に要る 3 つの数
一 相乗りにした時の 追加の待ち時間。 2 件目のお客様が、単独配車なら待たなかった分。5 分なのか 20 分なのかで話が変わります。
二 待ち時間が延びた時の キャンセル率。 これを持っている店はほとんどありません。ですがこれが分からないと 一の数字を評価できません。
三 1 台・1 時間あたりの原価。 車両費・燃料・ドライバーの時給を足して 時間で割った額。相乗りで浮くのはこの額です。
⇒ 二 × 客単価 が 三 を超えたら、相乗りは損です。
多くの店で二が空欄なので、この計算が成立しません。だから「なんとなく効率が良さそう」で続きます。
二を測る方法
大がかりな集計は要りません。配車の記録に 2 つの列を足すだけです。
一 依頼が入った刻
二 車が着いた刻
(キャンセルは 既に記録されているはずです)
この 2 つが 100 件たまれば、待ち時間を 5 分刻みで並べて、それぞれのキャンセル率が出ます。
多くの店である時間を境に急に跳ねる形になります。線形には増えません。その境目が、相乗りをやめる線です。
⚠️ 15 分と 20 分の間に段差があるなら、19 分の相乗りは得で 21 分は損、という話になります。平均で見ていると この段差は消えます。
相乗りを止めるべき合図
数字が揃う前でも、これらは止める合図です。
一 2 件目のお客様が 常連である。 新規の待ちは 1 回の損ですが、常連の待ちはその後の来店が減る形で効きます。⇒ 一晩の売上ではなく その先を削ります。
二 天候が悪い。 道中が延び、待ちが延び、その日はもともとキャンセルが出やすい。悪い日に効率を取ると、悪さが重なります。
三 その日 既に 遅延が出ている。 遅れは後ろへ積み上がります。1 台が 10 分遅れると、その車の残り全部が 10 分遅れます。⇒ 遅れている日に相乗りを足すのは、借金に借金を足す形です。
ドライバーの側から見る
見落とされがちですが、相乗りはドライバーの負担も変えます。
運転の時間は 増える(回り道になる)
待ちの時間は 減る(次の依頼までが詰まる)
**運転が増えて待ちが減ると、同じ時給でも きつくなります。**この形が続くと、ドライバーが辞めます。
⇒ **相乗り率とドライバーの定着を 並べて見る価値があります。**相乗りで浮いた人件費より、採用と教育の費用が上回っていることが在ります。
数の作り方(現実的な形)
いきなり全部は要りません。順に。
一 依頼の刻・到着の刻を 記録し始める(今日から。過去は要りません)
二 100 件たまったら 待ち時間の分布を出す
三 キャンセルを 待ち時間の帯ごとに 数える
四 段差が出た所を 相乗りの上限にする
四まで来ると、判断が癖から線に変わります。「同じ方角だから」ではなく「追加の待ちが 15 分を超えるなら分ける」になります。
相乗りを増やすべき場合も在ります
逆の話も 1 つ。
待ち時間が延びてもキャンセルが増えない帯が在ります。多くの店で、早い時間帯や 予約で押さえているお客様は 待ちに強い形になります。
⇒ その帯では 相乗りをもっと使えるということです。台数を減らせます。
片側だけ見て「相乗りをやめる」と決めると、この分を捨てます。
送迎の束の どこの話か
| 問い | どちらの頁か |
|---|---|
| 相乗りは 得か 損か | この頁 |
| 何台で 回すか | 送迎を 何台で回すか |
| どこまで 行くか・いくら 頂くか | 送迎は どこまで行くか |
| 誰から 先に 送るか | 配車の順を どう決めるか |
| 戻りの時間 | 配車で売上を決めているのは「戻りの時間」 |
| 運転中の 連絡 | 送迎の連絡が 途切れる |
| 原価を どう 見るか | ドライバーの原価を「1 本いくら」で見ていると |
⚠️ 相乗りは 台数の話の 一部でございます。 ⇒ 台数が 足りている店では、そもそも 迷いません。
相乗りが 増やす物
減らす物(台数・燃料)は 目に見えますが、増やす物は 見えにくうございます。
一 1 人あたりの 乗っている刻(遠回りの分)
二 待たされる方(2 人目・3 人目)
三 気を遣う刻(同じ車に 他のお客様)
⚠️ 三 が いちばん 数に 出ません。 ⇒ ⇒ 出ないので、無いものとして 扱われます。
三 が 効く場面
お一人で 来られた方 / 静かに 帰りたい方
⇒ ⚠️ 次から 送りを 断られる事がございます。 ⇒ ⇒ 断られた事は 記録に 残りにくく、理由も 分かりません。
二(待たされる方)を 測る
1 人目が 降りてから 2 人目が 降りるまでの 刻
⚠️ この差が 相乗りの 値段でございます。 ⇒ ⇒ 台数と 燃料で 得た分と、この刻を 並べてください。
出す形
| 1 人ずつ | 相乗り | |
|---|---|---|
| 車の 数 | 2 台 | 1 台 |
| 1 人目の 到着 | 20 分 | 20 分 |
| 2 人目の 到着 | 20 分 | 45 分 |
⇒ ⚠️ 2 人目の 25 分が 値段でございます。 ⇒ ⇒ その 25 分が 何度も 続けば、その方は 送りを 使われなくなります。
順を 決めておく
遠い方から 先に 降ろす / 近い方から 先に 降ろす
⇒ ⚠️ 近い方からが 収まります。 ⇒ ⇒ 遠い方は「遠いから 最後」と 納得いただけますが、 近い方が 最後だと 理由が 立ちません。
損が 出る所は 台数では ございません
⭕ 相乗りで 減るのは 台数の費えでございますが、増えるのは 別の物でございます。
増えるのは お客様の 待ち刻
⇒ ⭕ 1 台で 2 人 送ると、後の方は 先の方の 分だけ お待ちになります。 ⚠️ ⭕ 待ち刻は 費えに 出ませんが、次の来店には 出ます。
増えるのは 運ぶ方の 判じ
⭕ どちらを 先に お送りするか、その場で 決める要が ございます。 ⚠️ ⭕ 決めが 無いと 毎回 判じる事になり、これが いちばん 疲れます。 ⇒ 配車の順を どう決めるか
そして 増えるのは 顔を 合わせる場面
⇒ ⛔ ⚠️ お客様どうしが 同じ車に 乗られる。 ⭕ これを 気になさる方が どれくらい おられるかは、店によって まるで 違います。 ⇒ ⇒ 数える前に、この 1 点だけは 現場へ お尋ねくださいませ。
止めるべき 合図
一 2 人目の 待ちが 30 分を 超える
二 同じ方が 続けて 2 人目・3 人目になっている
三 送りを 断られる方が 出てきた
⚠️ 二 が いちばん 見落とされます。 ⇒ ⇒ 相乗りの 順が 決まっていないと、同じ方に 寄ります。
三 が 出た時は 遅い
断られてから 気づく ⇒ もう 数回 我慢しておられます
⇒ ⚠️ 一 と 二 を 数えてください。三 は 結果でございます。
増やすべき 場合も 在ります
一 台数が どうしても 足りない夜
二 同じ方向へ 同じ刻に 2 件
三 お客様どうしが お知り合い
⇒ ⚠️ 二 が いちばん 損が 小さうございます。 ⇒ ⇒ 遠回りが ほとんど 出ないためでございます。
三 は 確かめてから
お知り合いだと 思っていたが 違った
⇒ ⚠️ 確かめずに 乗せないでください。この業界では 特に。
お客様に 伝えるか
伝えない …乗ってから 分かります(いちばん 悪うございます)
伝える …選んでいただけます
⚠️ 先に お伝えして、断れる形にしてください。 ⇒ ⇒ 断られた分は 1 人で 送るか、お待ちいただくかでございます。
伝え方
「本日は お乗り合わせでの ご案内になりますが、よろしいでしょうか」
⇒ ⚠️ 「よろしいでしょうか」まで 言ってください。 ⇒ ⇒ 告げるだけだと、断れない形になります。
数の 作り方(手を掛けずに)
「測る」と申しましたが、手を掛けずに 出す形でございます。
相乗りの回だけ 1 つ 印を 付ける
⇒ ⚠️ それだけで 分けて 見られます。 ⇒ ⇒ 刻は 既に 記録に 在るはずでございます(乗せた・降ろした)。
押されていないと 出ません
⇒ 送迎の連絡が 途切れる ⚠️ 「着いた」「降ろした」が 押されていない店では、この数は 出せません。 ⇒ ⇒ そちらが 先でございます。
1 か月で 十分
相乗りの 回数 / 2 人目の 待ち / 断られた件数
⇒ ⚠️ **3 つで 判じられます。**それ以上は 要りません。
台数を 増やす前に
相乗りを 減らしたい ⇒ 台数を 増やす、では ありません
⚠️ まず 順と 範囲でございます。
順 …遠回りが 出ない組み方に なっているか
範囲 …遠い所へ 行き続けていないか
それでも 足りない時
⇒ 送迎を 何台で回すか ⚠️ 台数は いちばん 遅く いちばん 高うございます。
揃える 順(1 か月)
第一週 …相乗りの回と そうでない回を 分けて 数える
第二週 …2 人目の 待ちを 測る
第三週 …降ろす順(近い方から)と 伝え方を 決める
第四週 …送りを 断られた件数を 数え始める
⚠️ 第二週が 要でございます。 ⇒ 待ちを 測らないと、得か 損かが 出ません。
よくある問い
Q. 相乗りは 得でしょうか。 ⇒ 台数が 足りない夜は 得でございます。⚠️ ただし 2 人目の 待ちを 測ってから。
Q. どの順で 降ろせば よろしいでしょうか。 ⇒ 近い方からでございます。⚠️ 近い方が 最後だと 理由が 立ちません。
Q. お客様に 伝えるべきでしょうか。 ⇒ 先に お伝えください。⚠️ 乗ってから 分かるのが いちばん 悪うございます。
Q. ドライバーの負担は。 ⇒ 1 本いくらでは 出ません。⚠️ 相乗りの回とそうでない回で 分けて刻を 見てください。
Q. どこから 手を付ければ よろしいでしょうか。 ⇒ 2 人目の 待ちを 測る事でございます。値段は そこに 出ます。
3 つだけ お持ちくださいませ
一 減るのは 台数の費え、増えるのは 待ち刻と 判じと 顔を合わせる場面でございます
二 待ち刻は 費えに出ませんが、次の来店に 出ます
三 台数が 足りている店では そもそも 迷いません(相乗りは 台数の話の一部)
記録が残る所に置く
上のどれも、依頼と到着の刻が 1 件ごとに残っていないと出せません。
配車の記録が 手書きや 言い伝えで 回っている店では、100 件たまった時に振り返る材料がありません。⇒ 判断は癖のまま続きます。
tasteck では、配車の依頼・割り当て・到着が 1 件ごとに刻つきで残ります。待ち時間の分布と、その帯ごとのキャンセル率が、思い出す作業ではなく 1 つの表になります。
⚠️ ただしツールは最後です。先に 2 つの列を足すところから始めてください。100 件たまれば、線は自分で出てきます。