配車で売上を決めているのは「戻りの時間」です
1本あたりの単価でも本数でもなく、終わってから次が始まるまでの空き時間が売上の上限を決めます。転換時間・空車距離・稼働率の測り方と、明日から縮められる場所を実務の式で。
店舗型の商売は席数が上限を決めます。派遣型は「車の中の分数」が上限を決めます。
この違いが、見るべき数字を全部入れ替えます。店舗は満席でも単価を上げれば売上が伸びる。派遣は、最初の予約から最後の送りまでの間に完了できる本数で頭打ちになり、空で走った分は取り返せません。
そして多くの現場が、配車をグループチャットとホワイトボードで回していて、自店の転換時間が何分なのかを知りません。 ここで扱うのはその測り方です。
単位は「1本」
すべてはひとつの物の上に建ちます。1本の送迎です。迎え、送り先、開始、終了、担当ドライバー。測る価値があるものは、1本の性質か、1本と1本のあいだの隙間のどちらかです。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 1本 | 迎えから送りまでの1件 |
| 空車 | 誰も乗せていない走行区間 |
| 転換時間 | 前の本が終わってから次が始まるまで |
| 待機 | 出勤中で、割り当てが無い状態 |
| 入電 | 予約の問い合わせそのもの(割り当て前) |
隙間のほう——空車・転換・待機——が勝負どころで、そこがいちばん記録されていません。
転換時間:売上の上限を決める数字
転換時間 = 次の本の開始 − 前の本の終了(同じキャスト)
1シフトの本数 = シフト時間 ÷(平均所要 + 平均転換)
**なぜ上限を決めるのか。**1本が 90 分で転換が平均 50 分なら、8時間シフトに入るのは 3.5 本です。転換を 25 分に縮めると、同じシフトに 4.25 本入る。
予約を増やさず、人を増やさず、単価も変えずに、売上が 2 割増えます。
**何が決まるか。**割り当ての仕方すべてです。転換時間を決めているのは主に 3 つ——地理的な並べ方、次の予約が確定するまでの速さ、現在の本が終わる前に次の行き先を伝えているかどうか。3 つとも配車側の判断で、ドライバーの働き方ではありません。
転換時間の中身を割る
どこを叩けばいいか分かるように、分解します。
転換時間 = 戻り or 次への移動
+ 割り当て待ち
+ 客側との確定待ち
+ 本人の休憩
**2つ目と3つ目が配車側の持ち分で、たいていここがいちばん厚い。**駐車場で事務所の判断を待っている時間が、この商売でいちばん高い空き時間です。そしてどの帳票にも出てきません。
空車率:誰も払っていない距離
空車率 = 空で走った距離 ÷ 総走行距離
実車率 = 1 − 空車率
**何が決まるか。**並べ方です。予約が入った順に割り当てるのが標準的なやり方で、そしてほぼ常に間違っています。地理で並べて、時刻はその制約として扱う——これが空車率を下げるやり方です。
**なぜ測られないか。車がどこに居たかを知る必要があるからです。ただし迎え先と送り先を毎回記録していれば、機材無しでも概算できます。**概算で十分で、「並べているのか、ただ順番に積んでいるだけなのか」は概算で分かります。
稼働率:同じ名前の3つの別の数字
ここで現場が混乱します。「稼働率」が最低3つの意味で使われているためです。
時間稼働率 = 本に入っている分数 ÷ 出勤分数
実車稼働率 = 乗せている分数 ÷ 出勤分数
本数稼働率 = 完了本数 ÷ 割り当て本数
**この3つはずれます。そのずれ自体が情報です。**時間稼働率が高くて実車稼働率が低ければ、走ってはいるが乗せていない——並べ方の問題。実車稼働率が高いのに本数稼働率が低ければ、割り当てた本が流れている——予約・確定の問題で、運転の問題ではありません。
**どれを代表値にするか決めて、必ずどれかを明示してください。**配車の報告でいちばん多い誤りは、片方を出して相手が別のものを想像することです。
入電から確定まで:入口の数字
確定率 = 予約になった件数 ÷ 入電件数
確定時間 = 入電から割り当て確定までの中央値
充足率 = 埋められた入電 ÷ 入電
**確定時間で何が決まるか。**そもそも受注できるかどうかです。この商売ではお客様が複数店に同時に当たっていることが多く、**2番目に早い確定は受注ゼロです。**1分は事務の問題ではなく、成約の問題です。
充足率で何が決まるか。時間帯別の在籍数です。特定の2時間だけ充足率が落ちるなら、それは人手不足ではなくシフトが需要とずれているだけで、採用より安く直ります。
誰も取っていない「埋まらなかった入電」の記録
予約は記録します。予約にならなかった入電を記録している所はほとんどありません。 そこにしか「何を断っているか」は出ません。3項目で足ります——時刻・何を求められたか・なぜ埋まらなかったか。 1か月分でシフトの組み方が変わります。
キャスト定着率:ここでも同じ
本数加重の定着率 = 今期 N 本以上入った方のうち 前期も入っていた方
÷ 前期に入っていた方
**なぜ本数加重か。**頭数で数えると、2回入った方と20回入った方が同じ1人になります。現場を支えている側を維持できているかは、本数で重みを付けないと出ません。
**配車に固有の因果。**転換時間です。空き時間で収入が頭打ちになる方は、そうならない店へ移ります。 業務の数字と定着の数字は、両端から見た同じ数字です。
配車盤が答えるべき4つ
ホワイトボードでも画面でも、この4つに一目で答えられなければ、配車担当は本当の状態を頭の中に持ち続けることになります。
- いま空いているのは誰で、どこに居るか。「出勤中の人」ではなく、物理的にどこか。
- **未割り当ては何件で、何分経っているか。**経過分数を見せること。遅れがそのまま損だからです。
- **走っているのは何で、いつ終わるか。**現在の本が終わる前に次を並べるため。
- **今夜このあと確定しているのは何か。**反射ではなく計画にするため。
**3番目しか見せない盤——つまりステータス一覧——は、すべての割り当てを反射にします。**この分野のソフトの多くはステータス一覧です。
私たちのシステムの話
タステックはナイトレジャー向けの予約・顧客管理システムで、配車は後付けではなく、自分たちが回していたので最初に作った部分です。
作ったのは、この業界で 16 年 店舗を運営し、年商 2 億から 12 億へ伸ばした側です。他社はどこも IT 会社が作っています。配車画面にキャストの状態とドライバーの状態が同じ面に出ているのは、ワイヤーフレーム上で見栄えがしたからではなく、夜を回すのにそれが要ったからです。
**何ができるか。**キャスト状態とドライバー状態を同時に出す配車画面、受注への担当割り当て、ドライバー本人のスマホからの着車・帰還ステータス更新(事務所が電話しなくても盤が最新になります)、着信と繋がった予約画面——入電がそのまま予約レコードになり、番号を打ち直しません。ここが確定時間の勝負どころです。
配車ソフトが答えない側
転換時間は売上の上限を決めます。ですが盤を埋めるのは需要で、需要は買うものです。 その一段上に、他社が出していないものがあります。
媒体ごとに、来月いくらまで広告費を出してよいかを「金額」で出します。
各媒体が実際に連れてきたお客様の生涯価値に、自店の利益率を掛けて、上限額を出す。グラフではなく金額です。 配車盤は「来た需要をどれだけ効率よく捌いたか」を教えます。これは**「その需要はいくらまで買っていいか」**を教えます。
ChatGPT から聞けます
MCP で ChatGPT につながります。数字を会話で聞いて、会話で返ってきます。「先週のドライバー別の本数は」「時間帯別の充足率は」——画面を開く必要がありません。
ナイトレジャーWEB の実測で、この実装は業界初です。 同じ手順でどこからでも叩けるので、ChatGPT に縛られません。
多言語も実装済みです。ほかに受注・シフト・精算・CTI連携・会計分析。
2店舗まで月額 5,000円(約 $34)から。全プラン 30日間 無料、いつでも解約できます。 → 料金
できていないこと
**空車率の計算、地理的な自動並べ替え、埋まらなかった入電の記録——この3つは現在ありません。**前2つは経路データが要り、いまは取っていません。3つ目は見えている穴です。広域の並べ替えが唯一の詰まりどころなら、いま知っておいていただくほうがよいと思います。
今週やること
- **全部の本の「終了時刻」を記録する。**開始しか取っていない所が多く、終了が無いと転換時間は計算できません。
- **埋まらなかった入電を記録する。**3項目。この中でいちばん安く、たいていいちばん驚きます。
- **確定時間を1週間測る。**数分を超えていれば、そこが最大の取り返せる損です。
- 1晩だけ、予約順ではなく地理で並べて完了本数を比べる。1晩で動くかどうか分かります。
- **現在の本が終わる前に、次の行き先をドライバーへ伝える。**システム不要で、転換時間をいちばん大きく縮めることが多い手です。
需要側の上限額の計算は、登録不要でサイトに置いてあります → 広告予算の計算(英語頁)。どこにも送信されません。
数字について。 この記事には業界平均の転換時間・空車率・稼働率・充足率を載せていません。そう言える実測を持っていないためで、都市の密度・営業形態・距離で幅が大きすぎ、範囲を出せば精度を発明することになります。自店で4週間測った幅が、唯一その現場を説明する基準です。