断る線を 先に引いておく ── 取引先と お客様の 受け入れ基準
「この相手と取引してよいか」を、その場で判じていませんか。判ずる人が変わると答えが変わり、一度受けた後に断るのは何倍も大変です。何を見るか、誰が決めるか、断った記録をどう残すか、既に取引が始まっていた時どうするかを整理しました。
「紹介してもらった方なので、大丈夫だと思います」
思います、で受けていませんか。
受ける前に断るのは 1 つの判断で済みます。受けた後に断るのは、契約・お金・関係の 3 つを同時に動かす作業になります。
⚠️ この記事は 運用の固め方だけを扱います。何が法に触れるか・どこまで確かめる義務があるかは、顧問の先生にご確認いただく所です。ここでは触れません。
要点
- 受け入れの線は 受ける前に引く。受けた後は何倍も高くつく
- その場で判じない。判ずる人を 1 人に決める
- 見るのは 3 つ …誰が / 何を / どう払うか
- 断った記録がいちばん効きます(2 回目が来た時に分かる)
- 既に始まっている相手は、別の手順で扱う
1 行で言うと
| 場面 | 判ずる人 | その場で決めるか |
|---|---|---|
| 新しい取引先 | 責任者 | 決めない |
| 新しい仕入れ・外注 | 責任者 | 決めない |
| 紹介で来た相手 | 責任者 | 決めない(紹介ほど 断りにくい) |
| 既に 始まっている相手 | 責任者 + 顧問 | 別の手順 |
**3 行目が本命です。**紹介が、いちばん線を越えます。
なぜ その場で 判じてはいけないか
断りにくい場面ほど、判断が要る
紹介された その場 …断ると 紹介者の 顔が 立たない
見積を もらった後 …断ると 手間を かけさせた形に なる
もう 始まっている …断ると 途中で 止める形に なる
どれも、判断が甘くなる方へ働きます。
⇒ 「持ち帰って確認します」で 1 度切る形を、全員が使える言葉として持ちます。
切る言葉を 決めておく
⭕「新しいお取引は 責任者の確認を 通す決まりになっております。
2〜3 日 お時間を 頂戴いたします」
⚠️ **「決まりになっている」と言えると、断る側の負担が消えます。**個人が断っている形にしないことが要ります。
見る 3 つ
一 誰が ── 相手の 素性
一 会社の 名と 所在(登記の 有無)
二 話している人が、その会社の 人か
三 代表者の 名
⚠️ **二が抜けやすい所です。**名刺の社名と、振込先の名義が違う場面があります。
二 何を ── 何の取引か
一 何を 売る/買うのか
二 いくらか
三 なぜ 当社なのか
⚠️ **三を聞くと、多くが分かります。**答えが曖昧な話、当社である理由が無い話は、当社が目的ではないことがあります。
三 どう払うか ── お金の道
一 振込か 現金か
二 名義は 相手の 社名と 一致するか
三 前払いか 後払いか
⚠️ **二が一致しない時は、そこで止めます。**理由を聞くのではなく、一致しない限り進めない形にします。
お金の記録がどこに残るかは 精算が合わないのは、「回収」と「精算」を1つの表で見ているからです に別の観点で書きました。名義の不一致は、後から辿れなくなる典型です。
断った記録を 残す
断った記録を残していない店が、ほとんどです。
いつ / どこから / 何の話か / 何が 足りなかったか / 誰が 断ったか
⚠️ 要るのは 2 つの場面です。
一 同じ相手が 別の名で また来た時
二 後から「うちは 確かめている」と 示す時
**二が効きます。**通した記録だけでは、線が働いているかが見えません。断った記録が在ると、線が実際に動いていることが示せます。
年齢確認でも同じことを書きました(年齢確認は 見た目で 判じない)。断った記録がいちばん強いのは、どちらも同じです。
記録の残し方そのものは トラブルの記録が無い店は、相手の記録だけで語られます と同じ考えです。
既に 始まっている相手
ここは手順が違います。
🔴 その場で 止める …途中で 止めると、別の損が 出る
⭕ 一 いま どこまで 進んでいるかを 書き出す
二 止めた時に 何が 起きるかを 並べる
三 顧問の先生へ 相談してから 決める
⚠️ **止めること自体が、必ず正しいとは限りません。**契約の途中で止めると、こちらが負う物が出る場合があります。⇒ 判ずるのは顧問の先生の席です。
⇒ 現場ですることは 1 つだけ ── 新しい取引を増やさない。止めるかどうかは上で判じます。
契約書の前に 決める
⭕ 受け入れの 線を 決める ⇒ 契約書の 形を 作る
🔴 契約書を 作る ⇒ 誰と 結ぶかは その場で
**順が逆の店が多い所です。**契約書が整っていても、誰と結ぶかを決めていなければ効きません。
貼る 4 行
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新しいお取引の お申し出
一 その場で お受けしない
「責任者の確認を 通す決まりです。2〜3 日 頂戴します」
二 伺うのは 3 つ …どちらの会社か / 何のお話か / お支払いの形
三 ご紹介でも 同じ手順を 通す
四 お断りした時も 記録に 残す
⛔ 判ずるのは 責任者。その場に 居た者は 判じない。
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**三行目が効きます。**紹介を例外にすると、そこから入られます。
数えておく 2 つ
一 新しいお取引の お申し出が 何件 来たか
二 うち 断ったのは 何件か
⚠️ 二が 0 件のまま何か月も続く店は、断る形が現場に無いことがあります。⇒ 線が在るかではなく、線が動いているかを見ます。
よくある詰まり所
「紹介者に 悪い」
⇒ 紹介者にも、先に手順を伝えておきます。「うちは全部 責任者を通す決まりで」と最初に言っておくと、当日に断っても関係が壊れません。
「小さい金額だから」
金額で線を変えると、小さく始めて大きくする形を防げません。⇒ 金額に関わらず同じ手順を通します。
「急いでいると 言われた」
急かされる話ほど、持ち帰る理由が在ります。⇒ 急ぎを理由に手順を飛ばさない、と決めておきます。
「前から 付き合いが ある」
前からの相手でも、新しい種類の取引が始まる時は同じ手順を通します。同じ相手でも、中身が変われば別の話です。
まとめ
- 線は 受ける前に引く。受けた後に断るのは何倍も高くつく
- その場で判じない。「持ち帰って確認します」を全員が使える言葉にする
- 見るのは 3 つ …誰が / 何を / どう払うか
- 振込名義が一致しない時は、そこで止める
- **断った記録がいちばん強い。**線が動いている証拠になる
- 既に始まっている相手は、顧問の先生へ回す
**その場で判じない、と決めておくことが線そのものです。**線の中身より先に、決める場所を決めます。