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使い方

待機率を 数えると シフトの決め方が 変わる ── 稼働率との 違いと 使い分け

稼働率は「店が どれだけ回ったか」、待機率は「その人の 時間が どうだったか」を表します。分母が 違うので 打ち手も 違います。三つの数え方、業種別の目安、そして 待機率が 翌月の出勤に効く筋を 実務の順で並べました。

「稼働率は 悪くないんです」と言う店の、キャストの手取りが 伸びていない ── ということが よくあります。数字は 店の側から 見ており、手取りは 人の側から 決まるからです。

その ずれを 見えるようにするのが 待機率です。稼働率と 分子は 似ていますが、**分母が 違います。**そして 分母が 違う指標は、打ち手も 違います。

先に 要点だけ

  • 稼働率は 店の側の数、待機率は 人の側の数
  • 待機率が 高い月は、翌月の 提出が 減る(手取りが 落ちるため)
  • 平均ではなく 人ごとに 出す。平均の待機率は ほとんど 何も 語らない

一行の定義

稼働率

**用意した枠のうち、実際に 受注が 入った割合。**店が どれだけ 回ったかを 見ます。分母は 店が 決めます。

売上に 近い数で、経営の側から 見るときの 主役です。ただし 誰の時間が どうなったかは 見えません。

待機率

**出勤している時間のうち、受注が 入っていない時間の割合。**その人の 一日が どうだったかを 見ます。分母は その人の出勤時間です。

手取りに 直結し、辞めるか 続けるかの 判断に 効きます。人の側から 見るときの 主役です。

実働率

**出勤時間のうち、受注が 入っていた時間の割合。**待機率の 裏返しで、実働率 = 1 − 待機率 です。

同じ物を 逆から 見ているだけですが、話す相手で 使い分けると 通りが よくなります。人と話すときは 実働率、改善の話をするときは 待機率が 向きます。

三つの違いを 並べる

数え方分母誰の側の数か主に 何が 見える
稼働率店が用意した枠店が どれだけ回ったか
待機率その人の出勤時間その人の 手取りと 続けやすさ
実働率その人の出勤時間同上(待機率の 裏返し)

同じ日で 数えると どうなるか

営業 6 時間、出勤 5 名(各 6 時間 = 延べ 30 時間)、受注 12 件・平均 60 分 という日を 例に 置きます。

稼働率 …受注が 埋めた枠 12 ÷ 用意した枠 30 = 40.0%
待機率 …待機 18 時間 ÷ 出勤 30 時間      = 60.0%
実働率 …実働 12 時間 ÷ 出勤 30 時間      = 40.0%

この日は 稼働率 40% と 実働率 40% が 一致します。枠と 出勤時間が 同じ 30 時間だからです。

ところが 出勤を 7 名(延べ 42 時間)に 増やし、受注が 同じ 12 件のままだと ──

稼働率 …12 ÷ 42 = 28.6%   (店から見て 落ちた)
待機率 …30 ÷ 42 = 71.4%   (人から見ると もっと 落ちた)

**人を 増やした分だけ、一人あたりの 手取りが 薄まります。**稼働率は 11 ポイント 落ちますが、待機率は 11 ポイント 上がり、その痛みは 全員に 均等に 配られます。

なぜ 稼働率だけでは 足りないか

稼働率は 店が用意した枠を 分母に します。ですから **枠を 減らせば 上がります。**人を 減らして 稼働率を 上げても、残った人の 待機率が 下がるとは 限りません ── 受注の 山と 谷が 消えるわけでは ないからです。

待機時間は 誰が 払っているか

数え方を 決める前に 揃える三つ

一 出勤時間を どこから どこまでと するか

到着した時刻から か、店が 決めた開始時刻から か。終わりは 最後の受注の終了か、退勤の時刻か。

**ここが 揺れると 分母が 揺れ、待機率は 月ごとに 別の物に なります。**実務では「予定の開始から 退勤まで」が 扱いやすく、遅刻や 早退は 別に 数える形が 続きます。

遅刻・当日欠勤の 扱いを どう決めるか

二 移動と 準備を どちらに 入れるか

送迎のある業態では、移動している時間は 待機でしょうか、実働でしょうか。準備や 片づけは。

**答えは どちらでも 構いませんが、決めないと 業態間・店舗間で 比べられません。**送迎が 長い店ほど この一点で 数字が 大きく動きます。

配車で売上を決めているのは「戻りの時間」です

三 指名待ちの 拘束を どう置くか

「この時間は この人を 空けておく」という 押さえは、受注では ありませんが 自由でも ありません。

これを 待機に 入れると 待機率が 高く出て、実働に 入れると 低く出ます。**押さえが 多い店ほど、この一点で 印象が 変わります。**別の欄で 数えておくと、後から どちらにも 寄せられます。

算定式

待機率

(出勤時間 − 受注が入っていた時間) ÷ 出勤時間

実働率

受注が入っていた時間 ÷ 出勤時間   (= 1 − 待機率)

稼働率

受注が埋めた枠 ÷ 店が用意した枠

人ごとに 出す

**待機率は 平均で 見ても ほとんど 意味が ありません。**同じ 60% でも、全員が 60% なのと、三人が 20% で 四人が 90% なのとでは、起きていることが 正反対です。

前者は 受注が 足りない話、後者は 配分の話です。打ち手が 違いますので、必ず 人ごとに 並べます。

どう使い分けるか

人を 増やすか 決めるとき

待機率です。いまの人数で 待機率が すでに 高いなら、増やしても 一人あたりが 薄まるだけです。逆に 待機率が 低く、断った受注が 出ているなら 増やす場面です。

稼働率だけを 見ていると、この判断が できません。稼働率は 人を 増やせば 必ず 下がるので、常に「増やすな」と 言っているように 見えます。

シフトの 時間帯を 決めるとき

時間帯ごとの 待機率です。同じ日でも 早い時間と 遅い時間で 待機率は 大きく違い、そこが そのまま 削れる枠です。

一日の合計で 見ると この差は 消えます。⇒ 時間帯で 割って 初めて 手が 見えます。

シフトを 誰が どう決めるか

人と 話すとき

実働率を 使います。「あなたの待機率は 70% です」は 責められているように 聞こえ、「実働は 30% でした」は 事実として 受け取られやすい ── 同じ数でも 通りが 違います。

そして この話は 配分の話に つなげるためにします。数字を 見せて 終わりに すると、次の月の 提出が 減ります。

週末と 平日を 比べるとき

両方です。週末は 稼働率が 高く 待機率が 低い、平日は 逆 ── という形が 普通で、平日の待機率が どこまでなら 許せるかが 営業日の判断に なります。

週末だけ 人が足りない

業種で 何が 変わるか

出勤枠が 時間帯で 切られている店

キャバクラ・ラウンジのように 営業時間が 決まっている形では、**待機率の 下限が 構造的に 決まっています。**卓が 埋まらない時間は 誰かが 待つほか ありません。

ここでは 待機率を 下げるより、待機している時間に 何を してもらうか(連絡・準備・記録)を 決めるほうが 実務に なります。

送迎が 挟まる店

デリバリー型では 移動が 入るため、**同じ実働でも 拘束が 長くなります。**待機率だけを 見ると 高く出ますが、本人の体感は「待たされた」より「動かされた」に 近いことが あります。

⇒ 移動を どちらに 数えるかを 決めた上で、拘束時間を 別に 持っておくと 実態に 合います。

指名が 中心の店

押さえが 多いため、待機率は 高く出るのが 普通です。ここで 数字だけを 見て 配分を 変えると、指名の関係を 壊します。

指名の受注と フリーの受注を 分けて 待機率を 出すと、押さえの 重さが 見えます。

フリー率は 高いと まずいのか

人数が 少ない店

在籍が 少ない月は、**一人の欠勤が 全体の待機率を 大きく動かします。**人数が 5 名以下の期間の数字は、そもそも 揺れが 大きいと 見ておきます。

待機を 減らす前に 見る 三つ

待機率が 高いと 分かった時、いきなり 人を 減らすのは たいてい 早すぎます。先に 見る所が 三つ あります。

一 受注の 山と 谷の 形

同じ 12 件でも、6 時間に 平らに 入るのと、2 時間に 固まるのとでは、待機の出方が まったく 違います。固まっているなら、人数ではなく 時間帯の問題です。

山が はっきりしている店では、出勤の開始をずらすだけで 待機率が 数ポイント 動きます。人を 減らすより 先に、始まりの時刻を 二段に するほうが 効きます。

二 断った受注が 出ていないか

待機率が 高い月に、山の時間だけ 断りが 出ていることが あります。平らに見れば人余り、山だけ見れば人不足という形で、これは 人数の話ではなく 並べ方の話です。

断った件数を 数えていない店が 多いのですが、この数が無いと「余っている」の判断ができません。

三 待機の中身

同じ待機でも、連絡や 準備に 使えている時間と、何もできない時間は 別です。後者だけが 本当の待機で、前者は 実は 仕事の時間です。

分けて数えると、見かけの待機率より ずっと 低いことも あります。⇒ 減らす前に、中身を 一度 見ます。

月ごとに 並べたとき 何を 読むか

一度 数えて 終わりでは、待機率は ほとんど 役に立ちません。

待機率と 受注件数を 同じ図に 置く

待機率が 上がった月に 受注が 減っていれば 需要の話、受注が 同じなら 配分か 出勤の話です。この二つを 分けるだけで、打つ手が 半分に 絞れます。

人ごとの 幅を 見る

いちばん低い人と いちばん高い人の 差を 月ごとに 並べます。幅が 広がっている月は、配分が 偏り始めた月です。平均は 動いていなくても 幅は 動きます。

曜日で 割る

多くの店で、待機率は 曜日で はっきり 分かれます。平日の待機率が どこまでなら 開ける価値が あるかが、営業日を 決める数に なります。

シフトを 誰が どう決めるか

変えた月を 図に 書き込む

出勤の始まりを ずらした、送迎の数え方を 変えた、募集を 止めた ── その月を 印として 残します。後から「なぜ この月から 動いたか」を 探す時間が、これだけで ほとんど 消えます。

よくある 読み違い

他店の数字と 比べて 判じる

⚠️ 待機率の 通常の高さは **業態で まるで 違います。**卓が 決まっている店と 送迎が 挟まる店では、そもそも 構造が 別です。

外の数と 比べて 意味が あるのは、業態・立地・営業時間が 揃っているときだけです。自店の 前月・前年同月と 比べるほうが、たいてい 早く 正確です。

業界 KPI の 目安

待機率が 下がったので 良くなったと 読む

⚠️ **出勤を 減らしても 下がります。**受注が 同じで 出勤時間が 減れば、分母が 小さくなって 率は 改善したように 見えます。

起きているのは「受注が 増えた」ではなく「受けられる量が 減った」かもしれません。率と 実数(受注件数・出勤時間)を 必ず 並べます。

平均で 見て 人ごとの分布を 見ていない

上でも 触れましたが、これが いちばん 多い読み違いです。平均の待機率で 打った手は、たいてい 誰にも 当たりません。

時間帯を 潰して 見ている

一日の合計の待機率は、忙しい時間と 空いている時間を 混ぜた数です。混ぜた数からは 混ぜる前の 手は 出てきません。

前月と 比べているつもりで 定義が 変わっている

担当者が 替わった月、送迎の数え方を 変えた月、押さえの扱いを 変えた月 ── **数字が 動いたら まず 定義を 疑います。**現場が 変わるより 定義が 変わるほうが 早いのが 実務です。

翌月に 効く筋

待機率が いちばん 効くのは、実は 当月では ありません。

待機が 長い月の 次の月に 提出が 減る

手取りが 落ちれば、出せる日は 減ります。当月の待機率は、翌月の出勤の 先ぶれです。ここが 見えていると、人手不足が 起きる 一か月前に 手が 打てます。

キャストが辞める前の 3 週間

一部の人にだけ 溜まると 静かに 辞める

配分が 偏っている店では、待機率が 高い数名だけが 影響を 受けます。全体の平均は 動かないので、辞めるまで 気づきません。

新しく入った人ほど 待機率が 高く出る

入って 間もない人は 指名を 持たないため、フリーが 回ってこない時間は そのまま 待機に なります。新人の待機率が 高いのは 当たり前で、これを 力量の話に 読むと 判断を 誤ります。

在籍の 長さで 分けて 見ると、どのくらいで 待機率が 下がってくるかが 出ます。その日数が、この店で 新人が 立ち上がるまでの 期間です。

逆に 実働が 詰まりすぎても 続きません

待機率が 極端に 低い月が 続くと、休みが 取れず 別の形で 抜けます。低ければ 良いという数では ありません。

何を 記録しておけば 後から 数えられるか

出勤と 退勤の 実際の時刻

予定ではなく 実際です。ここが 無いと 分母が 作れません。

受注の 開始と 終了の時刻

件数ではなく 時刻です。件数だけでは 実働時間が 出ず、待機率は 数えられません。

移動と 押さえを 別の欄で

後から どちらに 寄せるか 決められるよう、**混ぜずに 残します。**混ぜて記録すると、定義を 変えたい月に 過去へ 戻れません。

時間帯が 分かる形で

一日の合計に 丸めてしまうと、いちばん 効く「時間帯ごと」が 永久に 出せません。

三つだけ 持ち帰るなら

1  稼働率は 店の側、待機率は 人の側。分母が 違うので 打ち手も 違う
2  平均では 何も 分からない。人ごと・時間帯ごとに 出す
3  当月の待機率は 翌月の出勤の 先ぶれ。人手不足の 一か月前に 見える

記録が どこに あるべきか

出退勤の実際の時刻・受注の開始と終了・移動と押さえ・時間帯 ── この四つが 同じ場所に 並んでいれば、待機率も 実働率も 稼働率も、後から どの切り方でも 数え直せます。

別々の場所に あると、定義を 変えたい月に 過去が 追えず、比べられない数だけが 積み上がります。待機率を 下げにいく前に、この四つが 一箇所に 残っているかを 確かめるほうが、結局は 早い道です。

出勤率は 何を 数えているか

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