返金の線を どこに引くか ── その場で決めると、次も同じ人が来ます
「思っていたのと違った」「途中で帰りたい」と言われた時、返すのか返さないのか。その場で判ずる店は、同じお客様が同じ理由で戻ってきます。返す場面・返さない場面の分け方、誰が決めるか、記録の残し方、キャストの取り分をどうするかまで整理しました。
「思っていたのと違ったので、返してもらえますか」
この言葉に、その場で答えていませんか。
答えた人によって返ったり返らなかったりする店では、**同じお客様が同じ理由で戻ってきます。**返ると知っているからです。
要点
- 返金で損をするのは 額ではなく、返す線が 人によって違うこと
- 線は 3 つに分けると、ほぼ全部が収まる
- こちらの落ち度があるかで分ける。満足したかで分けない
- その場で判ずる人を 1 人に決める(現場に判じさせない)
- 返した記録を残すと、2 回目が来た時に分かる
1 行で言うと
| 何が起きたか | 返すか | 判ずる人 |
|---|---|---|
| こちらの落ち度(遅れ・人違い・約束と違う) | 返す | 現場でよい |
| お客様の都合(気が変わった・急用) | 返さない | 現場でよい |
| どちらとも言えない | その場で決めない | 責任者 |
3 行目を作ることが、この記事の芯です。
なぜ その場で判じてはいけないか
判ずる人によって 額が変わる
同じ内容でも、判ずる人が変われば結論が変わります。⇒ お客様は、返してくれる人を覚えます。
🔴 現場が 判ずる …返す人・返さない人が 生まれる
⭕ 3 行目だけ 責任者へ …現場の 負担も 減る
その場は いちばん判じにくい刻
お客様が目の前で強く言っている場面は、いちばん冷静に判じられない刻です。そこで判ずると、金額より「押せば通る」という形が残ります。
⇒ 「確認してご連絡します」で 1 度切る形を作ります。切れる形があれば、現場は楽になります。
三つの線
一 こちらの落ち度 ── 返す
・到着が 大幅に 遅れた
・約束した人と 違う人が 行った
・伝えた内容と 実際が 違った
・こちらの 手違いで 取れていなかった
**ここは迷わず返します。**迷うと、落ち度を認めていない形になります。
⚠️ 全額か一部かは、先に決めておきます。「遅れは 30 分まで一部・それ以上は全額」のように数で置くと、現場が判じられます。
二 お客様の都合 ── 返さない
・気が変わった
・急な用事ができた
・思っていた人と 違った(写真は 本人)
返さないことを、断る文で言えるようにします。
⭕「お受けした後の ご返金は 承っておりません。
次回 お使いいただけるものを ご用意いたします」
⚠️ **「規定ですので」だけで切ると、その場は収まっても口コミに出ます。**代わりに出すものを 1 つ持っておくと、収まり方が変わります。
キャンセルそのものの扱いは チェンジと指名替えは、記録していない店ほど高くつきます に近い形で書きました。途中で替わる話と、返す話は隣り合っています。
三 どちらとも言えない ── その場で決めない
いちばん多いのがここです。
・写真と 印象が 違うと 言われた
・接客が 合わなかったと 言われた
・「聞いていた話と違う」と 言われたが、何を 聞いたかが 分からない
⇒ 「確認のうえ、あらためてご連絡いたします」で 1 度切ります。
切った後に見るのは 2 つです。
一 この人から 前にも 同じ話が 出ているか
二 このキャストで 同じ話が 出ているか
**一が 2 回目なら、返さない方へ寄せます。二が 3 回目なら、キャスト側を見ます。**どちらも、記録が無いと引けません。
記録が 全部を決める
返金の判断は、過去に同じ話が出ているかでほぼ決まります。
いつ / どなたから / どのキャストで / 何と言われたか / どう答えたか / 返したか
⚠️ 「返した」だけ書いて「何と言われたか」を書いていない店が多いです。⇒ 2 回目に、前回と同じ話かどうかが判じられません。
記録の考え方は トラブルの記録が無い店は、相手の記録だけで語られます に書きました。返金はその典型です。
⚠️ お客様ごとの履歴が散っていると、この照合ができません。散り方は 顧客名簿は いま どこに 在るか に書きました。
キャストの取り分を どうするか
ここを決めていない店が、いちばん多いです。
返金した時、キャストの 取り分は どうなるか
| やり方 | 中身 | 効きかた |
|---|---|---|
| キャストからも 引く | 返した分だけ 取り分を 減らす | こちらの落ち度でも 引くと 不信になる |
| 店が 全部 持つ | キャストの 取り分は そのまま | 店の負担が 大きい |
| 原因で 分ける | 落ち度の 側が 持つ | 筋が通る |
⇒ 三つ目が合います。
店の落ち度(配車の遅れ・手違い) …店が 持つ
キャストの落ち度(遅刻・無断の 変更) …キャストが 持つ
どちらとも言えない …店が 持つ
⚠️ **「どちらとも言えない」を店が持つのが要ります。**ここをキャストに持たせると、曖昧な話が全部キャストの負担になり、辞める理由になります。
遅刻そのものの扱いは 遅刻と当日欠勤を どう扱うか に分けて書きました。
精算との関わり
返金は、売上を戻す操作です。⇒ 締めた後に返金すると、締めた数が動きます。
締める前に 返す …その月の 売上から 引く
締めた後に 返す …翌月の 調整に なる
⚠️ どちらにするかを決めていないと、月をまたいだ返金で数が合わなくなります。
締めと支払いが別の時計である話は 精算が合わないのは、「回収」と「精算」を1つの表で見ているからです に書きました。返金は、その 2 つの時計の間に落ちます。
電話の横に貼る 3 行
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ご返金のお申し出
一 こちらの 落ち度 …お返しする(○分までは 一部 / それ以上は 全額)
二 お客様の ご都合 …お返ししていない旨を お伝えする
三 どちらとも 言えない …「確認のうえ ご連絡いたします」で 1 度 切る
⛔ 三を その場で 判じない。責任者へ。
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月に 1 回 数える 3 つ
一 返金が 何件 あったか
二 うち 一(落ち度)は 何件か
三 同じお客様から 2 回目が 何件か
⚠️ **二が多ければ、返金の設計ではなく現場の問題です。**配車が遅れているのか、伝え方がずれているのか。返金を絞っても直りません。
⚠️ **三が出ていれば、その人は線を知っています。**記録があれば分かります。
配車の遅れが売上をどう削るかは 配車で売上を決めているのは「戻りの時間」です に書きました。返金の一が多い店は、まずそこを見ます。
まとめ
- 返金で損をするのは 人によって線が違うこと
- 分け方は 3 つ …落ち度 / お客様の都合 / どちらとも言えない
- 三をその場で判じない。「確認してご連絡します」で 1 度切る
- 判断を決めるのは 過去に同じ話が出ているか。記録が無いと引けない
- キャストの取り分は 原因の側が持つ。曖昧な分は店が持つ
- 二(落ち度)が多い店は、返金ではなく 現場を直す
**返金の線は、揉めている最中に引くものではありません。**静かな時に引いて、貼っておくものです。