CPM分析とは — 顧客を5つに分けて「今月の売上」の中身を見る
CPM分析(顧客ポートフォリオマネジメント)は、顧客を初回客・よちよち客・こつこつ客・流行客・優良客の5つと、それぞれの離脱状態に分ける見方です。タステックが実際に使っている判定条件(直近1年42回・初回60日後9回・直近90日3回/2回、離脱の線は既定90日)をそのまま公開します。
「今月いくらでしたか」と聞くと、たいていの店ですぐ数字が出てきます。「先月と比べてどうですか」も出ます。
では、その売上を作った人が先月と同じ人かどうかは出ますか。
ここで止まります。**そして、止まるところが問題そのものです。**同じ 500 万でも、常連が積み上げた 500 万と、新規をかき集めた 500 万は、来月まったく違う顔をします。
CPM分析は、その中身を見るための道具です。
CPM は 3 通りに使われています(先に片付けます)
同じ 3 文字が別のものを指すので、最初に分けます。
| 略 | 何の略 | 何の数字 |
|---|---|---|
| CPM(この記事) | Customer Portfolio Management | 顧客を層に分けて、売上がどの層から立っているかを見る分析の枠組み |
| CPM(広告) | Cost Per Mille | 1,000 表示あたりの広告費 |
| CPA | Cost Per Acquisition | 新規 1 人あたりの獲得費用 |
獲得費用は CPA です。「CPM=獲得単価」と書いてある資料は、CPA と取り違えています。この記事は一番上の話です。
5 つの層
タステックの顧客分析画面は、顧客を次の 5 つに分けます。
初回客 …まだ通いになっていない
よちよち客 …通い始めの入口に立った
こつこつ客 …習慣になった
流行客 …一時期に集中して来ている
優良客 …太い柱
**この 5 つに、それぞれ「現役」と「離脱」がつきます。**だから実際には 10 の箱です。
そして、この 10 の箱の人数の動きが、月次売上より 3 か月ぶん早く危険を教えます。
実際の判定条件
多くの記事はここを書きません。**そのまま出します。**タステックが使っている条件です。
| 層 | 条件 |
|---|---|
| 優良客 | 直近 1 年の来店が 42 回以上 |
| 流行客 | 初回来店から 60 日より後の来店が 9 回以上 |
| こつこつ客 | 直近 90 日の来店が 3 回以上 |
| よちよち客 | 直近 90 日の来店が 2 回 |
| 初回客 | 上のどれにも当たらない |
判定は上から順です。優良客の条件に当たれば、そこで確定します。
現役と離脱の線
最終来店から 90 日(既定)を過ぎたら 離脱
90 日以内なら 現役
**この 90 日が全部の土台です。**離脱率も、こつこつ客とよちよち客の判定も、ここから引かれています。
条件の意味
**「42 回」は週 1 弱です。**1 年で 42 回は、ほぼ習慣として組み込まれた人だけが到達します。
**「初回から 60 日より後で 9 回」は、初期の熱を除いた回数です。**なぜ 60 日を除くか ── 来始めの 2 か月は誰でも回数が出るからです。そこを除いてなお 9 回なら、熱ではなく行動です。
**「直近 90 日で 3 回か 2 回か」は、通いのリズムが出来ているかの線です。**90 日で 3 回は月 1 回。2 回は月 1 回を割っている。この 1 回の差が、こつこつ客とよちよち客を分けます。
分けると何が見えるか
一 同じ売上の中身が割れる
A 店 …500 万 / 優良客 12 名で 300 万、残りが 200 万
B 店 …500 万 / 初回客とよちよち客で 400 万、優良客 3 名で 100 万
**同じ 500 万です。**そして A 店は来月も 300 万から始まり、B 店はゼロから始まります。
**B 店が悪いという話ではありません。**B 店は集客が強い。**ただ、B 店の 500 万を維持するには毎月同じだけ広告を出し続ける必要があり、A 店は要りません。**その差は月次売上のどこにも出ません。
二 離脱が売上より先に動く
離脱は過去 90 日の結果として判定されます。つまり ──
こつこつ客の離脱が増えているとき、その減った売上はすでに 3 か月前に発生しています。
**月次売上を見ている限り、この 3 か月は取り戻せません。**層別の人数を見ていれば、減り始めた月に気づけます。
三 「純増減」が本当の成績
タステックの画面には各月における純増加人数が出ます。
純増減 = 新規 + 復活 − 離脱
**売上が横ばいでも、この数字がマイナスなら店は縮んでいます。**単価が上がって隠れているだけです。そして単価はいつまでも上がりません。
四 「復活」は新規より安い
離脱していた顧客が戻ってきた状態を復活として別に数えます。
**分けて数える理由は、かかる費用が違うからです。**復活した人は、店を知っていて、場所を知っていて、誰に会いたいかを知っています。新規を 1 人取るのと同じ費用をかける必要がありません。
**離脱した顧客の名簿は、いちばん安く売上になる名簿です。**そして多くの店で、その名簿は取り出せる形になっていません。
層ごとに、やることが違います
**ここが CPM分析の使いどころです。**全員に同じ連絡をするのをやめられます。
| 層 | 見るところ | 手の打ち方 |
|---|---|---|
| 初回客 | 2 回目に来たか | 2 回目までの間隔。ここが最も落ちる |
| よちよち客 | 3 回目に届くか | あと 1 回でこつこつ客。投資効率が最も高い層 |
| こつこつ客 | 間隔が伸びていないか | 伸び始めが離脱の予兆。本人はまだ離れたつもりがない |
| 流行客 | 60 日以降も続いているか | 熱で来ている。冷めると速い |
| 優良客 | 誰が担当しているか | 人数が少なく、失うと桁で効く |
**いちばん取りこぼされているのは、よちよち客です。**あと 1 回でこつこつ客になり、こつこつ客の生涯価値はよちよち客の数倍です。そして必要なのは「あと 1 回」だけです。
よくある間違い
**一 平均で見る。**平均客単価も平均来店回数も、優良客と初回客を混ぜた数字です。混ぜた瞬間、どちらの層についても言えることが無くなります。
**二 離脱の線を店ごとに変えない。**90 日は既定値です。**週 1 で来る業態と、月 1 の業態では、離脱と呼ぶべき期間が違います。**週 1 の店で 90 日待てば、気づいた時には終わっています。
三 層を売上で分ける。CPM は回数と時期で分けます。売上で分けると「1 回で大きく使った人」と「何度も来る人」が同じ箱に入り、打つ手が決まりません。
**四 一度分けて満足する。****CPM分析の値打ちは、毎月同じ条件で分け直して、箱の間の移動を見ることにあります。**1 回のスナップショットからは、ほとんど何も出ません。
この分析を回すのに要るもの
顧客が誰か …来店をまたいで同じ人だと分かること
いつ来たか …来店ごとの日付
どこから来たか …媒体(層別の獲得費用を出すため)
これを何か月ぶんも …最低 12 か月。24 か月あると層の移動が見える
**多くの店で欠けるのは 1 番目です。**現金で会員登録もしていなければ、同じ人だと分かりません。
**実務では、予約のときにいただく電話番号が最も安く最も取れる手がかりです。**完全ではありませんが、全部の来店が同じ仕組みで同じように少なく出るので、層どうしの比較は成り立ちます。
タステックの話
タステックはナイトレジャー向けの予約・顧客管理システムです。作ったのは、この業界で 16 年 店舗を運営し、年商 2 億から 12 億へ伸ばした側です。他社はどこも IT 会社が作っています。
**この記事の 5 区分は、記事のために考えた枠組みではありません。**その 2 億から 12 億を作った時に毎月見ていた区分で、上に出した判定条件はいま製品が動かしている条件そのものです。
顧客分析画面で出るもの
現役・離脱/顧客グループ別 顧客数集計
現役・離脱/顧客グループポジション
グループ別 顧客数推移
各月における純増加人数
層ごとの 平均在籍期間・合計売上・顧客数
**来店ごとの記録は、受注・配車・キャストシフト・精算と同じ台帳の上に乗ります。**別々に入力する必要がありません。着信と繋がった予約画面があるので、電話予約はそのまま記録になります。
他社が出していない数字
CPM分析はすでに居る顧客の話です。もう半分は、その顧客をどこから連れてくるか。
媒体ごとに、来月いくらまで広告費を出してよいかを「金額」で出します。
グラフではなく金額です。そしてこの記事と直に繋がります。
**媒体ごとに、その媒体から来た顧客がどの層まで育ったかが割れます。**初回客で終わる媒体と、こつこつ客まで育つ媒体では、**同じ CPA でも価値が数倍違います。**上限額はその差を織り込んで出ます。
ナイトレジャーの分野で、この金額を出力する製品は他にありません。
ChatGPT から聞けます
MCP で ChatGPT につながります。**「先月、こつこつ客は何人増えた?」「離脱した優良客は誰?」「媒体別に、優良客まで育った率は?」── 会話で聞いて会話で返ってきます。**画面を開く必要も、レポートの置き場所を覚える必要もありません。
**ナイトレジャーWEB の実測で、この実装は業界初です。**同じ手順でどこからでも叩けるので、ChatGPT に縛られません。
ほかに受注・配車・キャストシフト・ドライバーシフト・精算・CTI連携・会計分析。多言語も実装済みです。
2店舗まで月額 5,000円(約 $34)から。全プラン 30日間 無料、いつでも解約できます。 → 料金
今月やること
- **直近 12 か月の来店を、顧客ごとに並べる。**これが無いと何も始まりません。
- **上の条件で 5 つに分ける。**条件はこの記事に全部書いてあります。手計算でもできます。
- **層ごとに売上を足す。**どの層が売上を作っているかが、たぶん想像と違います。
- **先月と今月で、箱の間の移動を見る。**1 回では出ません。2 回目から出ます。
- **よちよち客に「あと 1 回」の手を打つ。**投資効率が最も高い層です。
用語の整理は用語集にあります → CPM分析 / CPA / LTV / 離脱率
広告の上限額の計算は、登録不要でサイトに置いてあります → 広告予算の計算(英語頁)。どこにも送信されません。
数字について。 この記事に業界平均の層別構成比は載せていません。そう言える実測を持っていないためで、業態・価格帯・立地で幅が大きすぎ、範囲を出せば精度を発明することになります。**載せたのは判定条件だけで、これは平均ではなく当社製品が使っている実際の条件です。**自店の 12 か月に当てれば、その店の構成比が出ます。