リピート率の測り方 ── 何日空いたら「離れた」と数えるかで 全部変わる
リピート率は 窓の日数で 数字が別物になります。90日が既定になった経緯、業態ごとに窓を変える理由、初回リピートと継続リピートの分け方、そして毎月どこから取るか。算定式つき。
「うちのリピート率は 6 割です」
その 6 割は、何日 空いた方までを「まだお客様」と数えた数でしょうか。
リピート率は 定義の幅が いちばん広い数字です。 同じ台帳から、窓の日数を 変えるだけで 6 割にも 4 割にもなります。
この頁では 一 窓を決める/二 初回と継続を分ける/三 毎月どこから取るか を、そのまま使える形に します。
まず結論(急ぎの方へ)
一 「離れた」の線(窓)を 日数で 先に決める。既定は 90 日
二 業態で 窓は 変わる。会員制や 季節で来る店は 90 日だと 短すぎる
三 初回リピート(2 回目が在るか)と 継続リピート(3 回目以降)を 分ける
四 いちばん動くのは 初回リピート。ここが 全部の 始まり
五 窓を変えた月は、必ず その旨を 同じ行に 書く
⚠️ **四 が すべての 上流です。**2 回目が 無い方は 3 回目も ありません。 継続の施策を 打つ前に、2 回目の 取りこぼしを 見てください。
一 リピート率とは 何か
1-1 いちばん短い定義
リピート率 = 2 回以上 来られた方 ÷ 来られた方の総数
これだけです。難しいのは「来られた方の総数」を いつからいつまでで 切るかです。
1-2 切り方が 3 通り ある
甲 期間で切る …「8 月に来られた方のうち 2 回以上」
乙 人で切る …「初めて来られた方が その後 また来られたか」
丙 窓で切る …「直近 N 日に来られた方を 生きているお客様と数える」
⚠️ **この 3 つは 別の数字です。**同じ「リピート率」と呼ぶので 混ざります。
| 切り方 | 何が分かるか | 弱い所 |
|---|---|---|
| 甲 期間で切る | その月の 濃さ | 月をまたぐ常連が 落ちる |
| 乙 人で切る | 初回の 取りこぼし | 結果が出るまで 時間がかかる |
| 丙 窓で切る | いま 生きている数 | 窓の日数で 数字が動く |
⇒ 三つとも 出しておくのが いちばん 手戻りが ありません。 使う場面が それぞれ 違います。
二 窓(何日空いたら離れたと数えるか)
2-1 なぜ 90 日が 既定なのか
多くの分析が 90 日を 既定にしています。理由は 単純です。
月に 1 回 来られる方 …30 日
2 か月に 1 回 …60 日
⇒ 90 日 空いたら「いつもの間隔から 外れた」と 見なせる
⚠️ これは 月 1 回前後で 来られる業態を 前提にした数字です。
2-2 90 日だと 合わない業態
会員制・高単価 …3〜6 か月に 1 回が ふつう
⇒ 90 日だと 常連が 毎年 決まった時期に「離脱」と数えられます
季節で来る店(歓送迎会・忘年会が主)…年 2 回
⇒ 90 日は 短すぎて ほぼ全員が 離脱になります
毎週来られる店 …90 日は 長すぎて 離れた方が 生きている扱いに なります
⇒ 窓は 業態と 来店間隔で 決める物です。既定の 90 日は 出発点にすぎません。
2-3 窓の 決め方(実測から 出します)
一 直近 12 か月で 2 回以上 来られた方を 集める
二 その方々の 来店の 間隔(日数)を 全部 出す
三 その間隔の 中央値 × 3 を 窓の 目安にする
⇒ 中央値が 30 日なら 窓は 90 日。中央値が 60 日なら 180 日。 ⚠️ 平均ではなく 中央値を 使ってください。 年 1 回の方が 平均を 大きく 引き延ばします。
2-4 窓を 変えると どう動くか
同じ店・同じ月で 窓だけを 変えた例(丸めた数字)。
| 窓 | 生きているお客様 | 離れた方 | 離脱率 |
|---|---|---|---|
| 60 日 | 400 名 | 600 名 | 60% |
| 90 日 | 550 名 | 450 名 | 45% |
| 120 日 | 640 名 | 360 名 | 36% |
| 180 日 | 730 名 | 270 名 | 27% |
⚠️ 何もしていないのに 離脱率が 27% にも 60% にもなります。 ⇒ 窓を 書かずに 離脱率を 語るのは、単位を 書かずに 長さを 語るのと 同じです。
三 初回リピートと 継続リピートを 分ける
3-1 なぜ 分けるか
初回リピート …1 回目の方が 2 回目に 来られた割合
継続リピート …2 回以上の方が また 来られた割合
⚠️ この二つは 原因が 全く違います。 混ぜて 1 つの数字にすると、どちらが 悪いのか 分かりません。
| 低い時に 疑う所 | |
|---|---|
| 初回リピートが低い | 初回の体験・案内・次回の約束・料金の分かりにくさ |
| 継続リピートが低い | 担当の入れ替わり・飽き・競合・価格改定 |
3-2 初回リピートが いちばん 効く
初回 100 名 → 2 回目 30 名 → 3 回目 21 名(継続 70%)
初回 100 名 → 2 回目 40 名 → 3 回目 28 名(継続 70%)
⇒ 初回を 30% から 40% へ 上げるだけで、3 回目が 21 → 28 名。 継続の率は 同じでも 3 割 増えます。
⚠️ **上流の 1 段が いちばん 効きます。**継続の施策より 先に ここを 見てください。
3-3 初回リピートを 上げる 4 つ
一 帰り際に 次の日を 仮でも 入れる(「またご連絡します」は 断りに 聞こえます)
二 次回に 使える物を 渡す(期限を 短めに)
三 担当を 決める(誰に 頼めばよいかが 分かる形に)
四 初回の方だと 現場が 分かる形にする(分からないと 案内が 落ちます)
⇒ 四 が 抜けている店が 多いです。初回かどうかが 現場に 見えていないと、 一 から 三 は そもそも 実行できません。
四 数え方の 落とし穴
4-1 同じ方が 二重に 登録されている
電話番号の 表記ゆれ・改名・別の経路からの登録で 起きます。
二重があると …初回が 増え、リピートが 減る
⇒ 実際より 悪く 見えます
⚠️ リピート率が 妙に 低い時は、まず 二重を 疑ってください。
4-2 来店の記録が 残らない経路が 在る
電話だけ/その場の来店/個人の連絡先で 完結した予約
⇒ 台帳に 残らず、リピートとして 数えられません
⇒ 経路ごとに 記録の残り方が 違うと、経路の比べも 壊れます。
4-3 分母に キャンセルが 混ざる
予約した組を 分母にすると、来られなかった方が 入ります
⇒ 会計した組を 分母にする
4-4 窓を 途中で 変える
先月まで 90 日/今月から 120 日
⇒ 何もしていないのに リピート率が 上がります
⚠️ 変えた月は 必ず 同じ行に 書いてください。 書かないと、翌年 この数字を 見た人が 誤ります。
五 算定式(そのまま 使えます)
初回リピート率
= 初回来店から N 日以内に 2 回目が在った方 ÷ その期間の初回来店の方
(N は 窓と 同じ日数を 使うのが 揃えやすい)
継続リピート率
= 2 回以上の方のうち 直近 N 日に 来られた方 ÷ 2 回以上の方
生きているお客様(アクティブ)
= 直近 N 日に 会計が 在った方
離脱率
= 1 −(生きているお客様 ÷ 直近 12 か月に 1 回以上 来られた方)
窓 N の 決め方
= 2 回以上来られた方の 来店間隔の【中央値】× 3
⚠️ **N を 書かない数字は 出さない。**社内の資料でも 頭に「N=90」と 付けてください。
六 毎月 どこから 取るか
6-1 要る 4 つ
一 会計した組と その日付(お客様に 紐づいた形で)
二 お客様が 初回かどうか
三 直近 12 か月の 来店回数(人ごと)
四 来店間隔(窓を 決め直す時に 要ります)
6-2 5 分で 出る形にする
⚠️ 30 分かかる形は 忙しい月に 落ちます。落ちた月から 比べられなくなります。
一 窓(N)を 決めて 書いておく
二 初回リピート・継続リピート・生きているお客様 の 3 つだけ 出す
三 窓を 変えた時だけ その旨を 書く
6-3 業態ごとに 窓を 変える時の 注意
複数の店・複数の業態を お持ちの場合、店ごとに 窓が 違って よいのです。 ただし 合算する時は 揃える必要があります。
店 A(毎週来店)…窓 30 日
店 B(会員制) …窓 180 日
⇒ 会社全体の 離脱率を 出す時は、どちらかに 揃えるか
店ごとに 出して 並べる(合算しない)
⚠️ 揃えずに 合算すると、どちらの店の 数字でもない物が 出ます。
七 見ておく 5 つ
一 窓(N)の 日数 …数字の 頭に 必ず 付ける 二 初回リピート率(月ごと)…いちばん 上流 三 継続リピート率(月ごと) 四 生きているお客様の 数(実数)…率だけだと 減ったのが 分子か分母か 分かりません 五 来店間隔の 中央値 …年 1 回 見て、窓が 合っているか 確かめます
⇒ **四 を 落とさないでください。**率は 分母が 減っても 上がります。
記録が残る所に置く
上の 5 つは、会計が お客様に 紐づいて 残っていないと 1 つも 出せません。
来店の記録が 経路ごとに 散っていると、初回かどうかも 判じられません。 ⇒ 初回リピートが 出せない= いちばん 効く所が 見えない、という事です。
tasteck では 受注が お客様の記録に 紐づいて 残り、 離脱の線(窓)を 会社ごとに 日数で 設定できます(空欄なら 既定の 90 日)。 ⇒ 会員制の店は 180 日、毎週来られる店は 30 日、と 業態に 合わせられます。
⚠️ ただし ツールは 最後です。まず 窓の日数を 決めて、数字の頭に 付けてください。 それだけで、来月の会議で「6 割」と「4 割」が ぶつかる事が なくなります。
リピート率は 測る前に 窓を決める数字です。窓を書かない率は、単位を書かない長さと同じです。