客単価の上げ方 ── 分母を揃えないと 上がったのか下がったのか 分からない
ナイトレジャーの客単価は、店によって数え方が違います。3つの数え方の違い、上げる4つの筋とそれぞれの落とし穴、業態別の目安、そして毎月どこから数字を取るかまで。算定式つき。
「今月は 客単価が 上がりました」
その数字が 何を 何で割った物か、店の中で 揃っているでしょうか。
客単価は いちばんよく 言われ、いちばん 定義が 揃っていない数字です。 揃っていないと、上がったのか 下がったのか すら 判じられません。
この頁では 一 数え方を 揃える/二 上げる筋を 4 つに分ける/三 毎月 どこから取るか の順で、そのまま使える形に します。
まず結論(急ぎの方へ)
一 分母は【来店した組】ではなく【会計した組】で揃える
二 指名料・オプション・延長を 客単価に 入れるかを 先に決める
三 上げる筋は 4 つだけ …単価 / 本数 / 指名率 / オプション率
四 いちばん動くのは 3 と 4。1 を上げるのは いちばん最後
五 月ごとに比べるなら 曜日構成を 揃える(同じ月の同じ曜日数で)
⚠️ **四 が 効きます。**値段を上げるのは 効きますが、反発も いちばん大きい。 先に 指名率と オプション率を 見てください。同じお客様から 増えます。
一 客単価とは 何か
1-1 いちばん短い定義
客単価 = 売上 ÷ 会計した組数
これだけです。難しいのは 分子と 分母の 中身です。
1-2 分子に 何を 入れるか
ナイトレジャーの売上は 何層にも 分かれます。
基本料金(コース・セット・時間)
指名料(本指名・場内指名・写真指名)
オプション(延長・追加・物販)
飲食(ドリンク・ボトル・フード)
送迎料
⚠️ どこまでを 客単価に 入れるかで、同じ月が 全く違う数字に なります。
1-3 分母に 何を 入れるか
ここが いちばん ずれます。
甲 …来店した組(入店ベース)
乙 …会計した組(会計ベース)
丙 …予約が入った組(予約ベース)
⇒ **乙(会計した組)を 勧めます。**理由は 3 つです。
一 数え方が 一つに 決まる(会計は 1 組 1 回)
二 キャンセルや 不来店が 混ざらない
三 売上と 分母が 同じ台帳から 取れる(食い違いが 出ない)
⚠️ 甲(入店ベース)は 見学だけの方や 途中で帰られた方が 分母に入り、 客単価が 実際より 低く出ます。
二 3 つの数え方を 並べる
同じ 1 か月の 同じ店で、数え方だけを 変えると こうなります。 (分かりやすさのため 丸めた例です)
| 数え方 | 分子に入る物 | 分母 | 出る客単価 | 何に使えるか |
|---|---|---|---|---|
| A 総額式 | 基本+指名+オプション+飲食+送迎 | 会計した組 | 高く出る | 店全体の 稼ぐ力 |
| B 本体式 | 基本+指名+オプション(飲食・送迎を除く) | 会計した組 | 中くらい | 接客の 質を見る |
| C 基本式 | 基本料金のみ | 会計した組 | 低く出る | 値付けの 妥当性 |
⚠️ どれが 正しいという物では ありません。 混ぜない事が すべてです。
2-1 どれを 主に使うか
月次の報告 …A(総額式)。店の稼ぐ力を そのまま 表します
現場の改善 …B(本体式)。指名とオプションの 動きが 見えます
値上げの判断 …C(基本式)。基本料金だけの 実力が 出ます
⇒ 3 つとも 出しておくのが いちばん 手戻りが ありません。 分母が 同じなので、1 度の集計で 3 つとも 出ます。
2-2 よくある 食い違い
店長 …A で話している(飲食込み)
経理 …C で見ている(基本料金のみ)
オーナー …B のつもりで聞いている
⇒ 同じ会議で 3 つの数字が 飛び交い、誰も 気づきません。 ⚠️ 数字の頭に A / B / C を 付けるだけで 消えます。
三 上げる筋は 4 つだけ
客単価は 4 つに 分解できます。分解すると どこを触るかが 決まります。
客単価 = 基本単価
+(指名料 × 指名率)
+(オプション単価 × オプション率)
+(延長単価 × 延長率)
3-1 筋その一 …基本単価を 上げる
いちばん 分かりやすく、いちばん 反発が 大きい。
効き …大きい(全組に 効きます)
危うさ …大きい(比べられます・離れる方が 出ます)
⚠️ 先に これをやる店が 多いのですが、順としては 最後です。 3-2 と 3-3 を 触っていない状態で 値上げすると、 上げ幅の分だけ そのまま 反発が 来ます。
やるなら
一 いちばん 差が開いている 品目から(全部 一斉に 上げない)
二 常連の方へ 先に 直に 伝える(会計で 知らせない)
三 上げた後 6 週 動かさない(1 週の凹みで 戻さない)
3-2 筋その二 …指名率を 上げる
同じお客様から 増えるので、いちばん 反発が 小さい。
指名率 = 指名の付いた組 ÷ 会計した組
⚠️ 本指名・場内指名・写真指名を 分けて 数えてください。 混ぜると、どれが 増えたのか 分かりません。
動くところ
一 写真が 出ていない子が 居ないか(出ていない子は 指名されません)
二 初回のお客様に 指名の仕組みが 伝わっているか
三 場内指名の 声掛けが 人によって 差が無いか
⇒ 一 が いちばん 多い詰まりです。撮ってあるのに 出ていない店が よく在ります。
3-3 筋その三 …オプション率を 上げる
オプション率 = オプションの付いた組 ÷ 会計した組
**上げ方は 値段ではなく【伝わり方】**です。
一 品目が 多すぎないか(多いと 選べず 0 になります)
二 いつ 伝えているか(会計時では 遅い)
三 誰が 伝えているか(人によって 差が 大きい所)
⚠️ **三 が 効きます。**同じ店で 人によって オプション率が 3 倍 違う事は 珍しくありません。 ⇒ 上位の人が 何を どの刻に 言っているかを 聞き取って 揃えるのが いちばん 早い。
3-4 筋その四 …延長率を 上げる
延長率 = 延長した組 ÷ 会計した組
延長は お客様が 満足している時にしか 起きません。 ⇒ ですので 延長率は 満足の 代わりの数字としても 使えます。
一 延長の 声掛けの刻が 決まっているか(終わり 10 分前 など)
二 次の予約が 詰まっていて 延長できない形になっていないか
⚠️ 二 が 隠れた詰まりです。枠を詰めすぎると 延長が 物理的に 取れません。 稼働率を 上げるつもりが、客単価を 下げている形です。
四 どの筋から 手を付けるか
効きと 危うさで 並べると こうなります。
| 筋 | 効きの大きさ | 反発の大きさ | 手を付ける順 |
|---|---|---|---|
| 指名率 | 中〜大 | 小 | 1 番目 |
| オプション率 | 中 | 小 | 2 番目 |
| 延長率 | 小〜中 | 小 | 3 番目 |
| 基本単価 | 大 | 大 | 4 番目 |
⇒ 上の 3 つは 同じお客様から 増えます。 4 番目だけが お客様に 負担を 求める筋です。
⚠️ ただし costs が 上がっている時は 4 番目を 避け続けられません。 その時は「上の 3 つを やり切ってから」という順を 守ってください。 やり切っていない状態の 値上げは、やれる事を やらずに 転嫁した形になります。
五 業態ごとの 目安
⚠️ **目安であって 正解ではありません。**立地と 客層で 大きく動きます。 自店の 前年同月と 比べる方が、他店と 比べるより 役に立ちます。
デリバリー系 …基本 60〜90 分の料金が 主。指名料とオプションの 比重が 大きい
店舗型(キャバ・ガールズバー)…飲食の比重が 大きく、A と C の差が いちばん 開く
メンズエステ …コース料金が 主。指名率が 客単価に 直に 効きます
ホスト …ボトルの比重が 極端に 大きく、平均より 中央値を 見る方が 実態に 近い
5-1 平均か 中央値か
⚠️ 1 組の大きく使われた 1 組が 平均を 大きく 動かします。
平均 …大きく使われた 1 組が 混ざると 実態より 高く出る
中央値 …真ん中の組の 単価。現場の感覚に 近い
⇒ 両方 出して、離れていたら 大きく使われた 1 組が 効いています。 離れ方が 月ごとに 変わると、月次の比べが 壊れます。
六 毎月 どこから 数字を 取るか
ここが 揃っていないと、上の全部が 絵に描いた餅です。
6-1 要る 4 つ
一 会計した組数(分母)
二 売上の内訳(基本/指名/オプション/飲食/送迎)
三 指名の付いた組数(種類ごとに 分けて)
四 延長した組数
6-2 取り方の 落とし穴
⚠️ 手作業の集計は 月末に 2 週間 かかります
⇒ かかるのは 計算ではなく【集めるところ】です
⚠️ 予約を消してしまうと キャンセルが 分母から 消えます
⇒ 会計ベースなら 影響しませんが、入店ベースだと 壊れます
⚠️ 指名の種類を 一つの欄に 混ぜていると 3-2 が できません
6-3 算定式(そのまま 使えます)
A 総額式 =(基本+指名+オプション+飲食+送迎)÷ 会計組数
B 本体式 =(基本+指名+オプション)÷ 会計組数
C 基本式 = 基本 ÷ 会計組数
指名率 = 指名の付いた組 ÷ 会計組数
オプション率 = オプションの付いた組 ÷ 会計組数
延長率 = 延長した組 ÷ 会計組数
前月比を見る時
当月の客単価 ÷ 前月の客単価 − 1
⚠️ 曜日構成が 違う月は そのまま 比べない
⇒ 金土の 本数が 同じ月どうしで 比べる、または 前年同月と 比べる
七 上げたつもりで 上がっていない 3 つの形
7-1 分母が 減っただけ
売上 そのまま / 組数 減った ⇒ 客単価は 上がります
⚠️ これは 客単価が 上がったのではなく お客様が 減った形です。 ⇒ 客単価と 組数は 必ず 並べて 見てください。
7-2 大きく使われた 1 組が 入っただけ
平均だけを 見ていると 起きます。⇒ 中央値を 併記すれば 消えます。
7-3 数え方を 変えただけ
先月まで C(基本のみ)/ 今月から A(総額)
⇒ 何もしていないのに 上がります
⚠️ 数え方を 変えた月は、必ず その旨を 同じ行に 書いてください。 書かないと、翌年 この数字を 見た人が 誤ります。
八 見ておく 5 つ
一 客単価(A / B / C の 3 つ)と 会計組数 …必ず 並べて 二 指名率(本指名・場内・写真を 分けて) 三 オプション率(人ごとの 差も) 四 延長率 五 中央値と 平均の 差 …大きな 1 組の 効きが 見えます
⇒ 月 1 回・5 分で 出る形にしておけば 続きます。 30 分かかる形は 忙しい月に 落ちます。
記録が残る所に置く
上の 5 つは、受注・指名・オプション・会計が 同じ所に 並んでいないと 出せません。
手書きと 表計算に 散っていると、月末に 集めるところで 2 週間かかり、 出た頃には 手を打てる刻を 過ぎています。
tasteck では 受注に 指名・オプション・延長・会計が 紐づいて 残るため、 客単価も 指名率も、集めずに 出せます。分母を 会計ベースで 揃えた形です。
⚠️ ただし ツールは 最後です。まず 分母を 揃えて、A / B / C の 頭文字を 付けてください。 それだけで、来月の会議で 3 つの数字が 飛び交う事が なくなります。
客単価は 上げる前に 揃える数字です。揃っていない数字は、上がっても 誰も 信じません。