ツケを どこで止めるか ── 上限を決めていない店の共通点
常連へのツケは 売上を伸ばすが、上限と期限を決めていない店では 回収できない額が静かに積み上がる。止める線の決め方と、決める前に出す 3 つの数。
ツケを一切やらない店は、この業界ではほとんどありません。
常連が財布を忘れた。今日は持ち合わせがない。来週まとめて。その場では 断る方が損に見えます。
そして多くの店で、いくらまで・いつまで という線が 決まっていません。
まず 3 つ出す
線を決める前に、いまの姿を数えます。
一 いま在るツケの 総額
二 いちばん古いツケの 日付
三 人ごとの 内訳(誰が いくら・何日前から)
⚠️ この 3 つが すぐ出ない店では、**線を決めても 守れません。**測れない物は 止められません。
多くの店で 二(いちばん古い日付)が 想像より 古いという結果になります。半年前・1 年前が 出てきます。
線を 決めていない店で 何が 起きるか
⭕ 一晩では 何も 起きません。効いてくるのは 3 か月目でございます。
一晩目 …何も 起きません
⇒ ⭕ その場では「次に お持ちください」で 済みます。 ⚠️ ⭕ 済んでしまうから、決めが 要らないように 見えます。
一か月目 …額が 動かなくなります
⭕ 返る分と 増える分が 釣り合い、総額が 止まって 見えます。 ⚠️ ⭕ 止まって見えるのは【中身が 入れ替わっている】からでございます。 ⇒ ⇒ 古い分だけが 残り、新しい分が その上に 乗ります。
三か月目 …古い分が 動かなくなります
⇒ ⚠️ ⭕ 3 か月 動かない分は、その後も たいてい 動きません。 ⭕ ここで 初めて「多い」と 気づきますが、 ⇒ ⇒ 気づいた時には 【誰の分か】が 曖昧に なっております。
そして 現場が 自分で 線を 引き始めます
⛔ ⚠️ 決めが 無いと、その場に 居る方が その場で 判じます。 ⭕ 三人 居れば 三通りの 線になり、 ⇒ ⇒ お客様から 見ると【人によって 違う店】に なります。
線は 2 つ要ります
一つだけでは 効きません。
一 額の線 …1 人あたり いくらまで 二 刻の線 …何日で 締めるか
⇒ 額だけ決めると、少額が 永久に 残ります。 ⇒ 刻だけ決めると、1 晩で 大きな額が 乗ります。
【決め方の目安】
額の線 …その客の 【1 回の平均単価】 を 超えない
⇒ 1 回ぶんなら「次に来た時に 払える額」です
刻の線 …次の来店までの 【平均の間隔】 + 2 週間
⇒ 月 1 回の客なら 6 週間。毎週の客なら 3 週間
⚠️ **人によって違う線になります。**一律にすると、常連には緩く 新しい客には厳しい形になります。 ⇒ そして 常連の方が 額が大きいので、一律の線は いちばん危ない所を 素通りさせます。
止める時に いちばん揉める所
線を決めても、その場で断るのは 現場の人です。
⚠️ 現場に判断を投げると、断れません。相手は常連で、目の前に居ます。
⇒ 決めるのは店・伝えるのは仕組みにします。
その客の画面に 残高と 線が 出る
線を超えたら 画面が 止める(人が断るのではない)
⇒ 「私が断っている」ではなく「決まりで止まっている」形にする
**これは現場を守るための形です。**判断を人に負わせると、線は必ず崩れます。
回収の順
古い順に追うのは、たいてい 効きません。古いほど 取れません。
一 いま来ている客の 分(いちばん取れる)
二 3 か月以内で 来なくなった客の 分
三 それより古い分(【取れない前提で 数だけ持つ】)
⚠️ 三を「取れるはず」として台帳に置き続けると、総額が実態より大きく見えます。 ⇒ 三は 額として分けて持ち、判断(諦めるか 続けるか)は 別に置きます。
誰の客かで 変わります
指名の客のツケは、その担当が辞めた時に 取れなくなります。
⇒ ですので 担当ごとのツケの総額を 見ておく価値が在ります。
1 人の担当に ツケが集中している
⇒ その人が辞めた時に 消える額が 大きい
⚠️ これは「その人を疑う」話ではありません。辞める時に 引き継ぐ物が 増えるという話です。
決める前に 現場へ聞く
線を決める時、現場に「いくらまでなら 断りやすいか」を 先に聞くと 通りやすくなります。
上から降ろした線は 守られません。自分たちで出した線は 守られます。
⚠️ そして たいてい、現場が出す線は 店が考えていたより 低いです。断る側の負担を いちばん知っているのは 現場です。
聞き方も 大事でございます。「いくらが よいと 思うか」では 出てまいりません。 **「先月 断りにくかったのは 誰の 何円でしたか」**と 過ぎた事で 訊きます。 ⇒ 額の話は 意見に なりますが、過ぎた事は 覚えておられます。 ⇒ ⇒ 3 人に 訊けば、たいてい 同じ額の あたりに 集まります。
現場が 低い線を 出す訳は、断る場に 居るのが 現場だけだからでございます。 決める人は その場に 居りません。 ⇒ 高い線は「その場で 断る回数が 増える」事を 意味します。 ⇒ ⇒ 線が 高いほど 現場が 楽に なる、では ございません。逆でございます。
⚠️ 現場の線を そのまま 使わない方が よい場合も ございます。 1 人だけ 極端に 低い方が おられる時は、その方が 既に 何か 抱えておられる恐れがございます。 ⇒ 額を 合わせる前に、その方が いま 抱えている分を 見ます。 ⇒ ⇒ 線の話に 見えて、実は 特定の 1 件の話である事が ございます。
隣の頁との 分担
| 何の話か | どちらの頁か |
|---|---|
| どこで 止めるか(線の 引き方) | この頁 |
| 増やさずに 続ける形・声の 掛け方 | ツケの回収 |
| 月末の 締めに 出てくる分 | 月末の締めに 2 週間かかる |
| 会計の最後で 揉める分 | 領収書で 揉める |
⚠️ 回収の順は この頁に、回収の【仕方】は 8/28 にございます。 ⇒ 止める線が 無いまま 回収だけ 強めても、また 増えます。
線を 2 つ 持つ理由
1 本では 足りません。額と 刻でございます。
額の線 …いくらまで
刻の線 …何日まで
⚠️ どちらか 一方だと 抜けます。
額だけ …少額が 半年 残ります
刻だけ …1 日で 大きな額が 立ちます
額の線の 決め方
その方の 1 回あたりの お支払い × 2 くらい
⇒ ⚠️ 一律にしない方が 収まります。 ⇒ ⇒ ただし 一律にしないなら 誰が 決めるかを 先に 決めてください。
刻の線の 決め方
次に お越しになる 間隔の 中央値 × 1.5 くらい
⇒ ⚠️ 間隔を 知らないと 引けません ⇒ リピート率の測り方
誰の客かで 変わる所
店の客 …止めやすい
キャストの客 …止めると そのキャストが 間に 立たされます
⚠️ 後者を 現場に 任せないでください。 ⇒ ⇒ 断れない方が 抱え、その方が 自分で 立て替える事すら ございます。
立て替えが 起きていないか
ツケが 消えているのに 入金の記録が 無い
⇒ ⚠️ 誰かが 払っておられる見込みでございます。 ⇒ ⇒ これは いちばん 静かに 人が 辞める形でございます。
見つけ方
月に一度、消えた分と 入金を 突き合わせる
⇒ 記録に 4 つ(いつ・誰が・いくら・誰が決めたか)が 在れば 出ます ⇒ ツケの回収
総額を 3 つに 分けて 持つ
一 いま来ている方の 分(取れます)
二 3 か月以内に 来なくなった方の 分
三 それより 古い分(取れない前提)
⚠️ 三 を「取れるはず」として 総額に 混ぜないでください。 ⇒ ⇒ 実態より 大きく 見え、判断を 誤ります。
月に一度 並べる
三つの 額 / 件数 / いちばん古い日
⇒ ⚠️ いちばん古い日を 見てください。 ⇒ 伸び続けているなら、線が 効いておりません。
そもそも 3 つ 出す
線を 引く前に、いま どうなっているかでございます。
一 総額(いくら 貸しているか)
二 件数(何人に)
三 いちばん古い日
⚠️ 三つとも 出せない店が ほとんどでございます。 ⇒ ⇒ 出せないのは、その場だけで 決めているためでございます。
出せない時に 起きている事
誰が いつ 決めたか が 残っていない
⇒ 誰に 訊けばよいか 分からない
⇒ ⇒ 追えない
⇒ ⚠️ 記録が 無いのは 額の話ではなく 追える・追えないの話でございます。
まず 1 か月 数えるだけ
その夜 その場で 払われなかった分を 1 行
⇒ ⚠️ 線を 引くのは その後で 結構でございます。 ⇒ ⇒ 数を 知らずに 線を 引くと、実際と 合いません。
貸付だと 扱う
「ツケ」と呼ぶと 軽く 聞こえますが、決めた瞬間から 貸しております。
呼び方 …ツケ・後払い・預かり
中身 …こちらの お金が 相手の手に 在る状態
⚠️ 軽い言葉を 使うほど、線が 緩みます。
誰が 貸したのか
店が 貸した …店が 追います
現場が その場で 決めた …誰が 追うのか 決まっていません
⇒ ⚠️ 後者が いちばん 多うございます。 ⇒ ⇒ そして 追う人が 決まっていないので、そのまま 残ります。
線を どう 伝えるか
⛔ **声の掛け方そのものは 隣の頁でございます。**こちらは【線の 伝え方】だけ。
初めに 伝えると 揉めません
⇒ ⭕ 上限が 在る事を 先に お伝えしていれば、線に 触れた時に 説明が 要りません。 ⚠️ ⭕ 触れてから 初めて 伝えると、その方には【自分だけ 止められた】と 映ります。
額でなく 形で 伝える
⛔ 「◯◯様は 5 万円までです」…その方だけの 決めに 聞こえます
⭕ 「うちは どなたも ◯回まで/◯万円までで 一度 締めます」…店の決め
⇒ ⚠️ ⭕ 同じ線でも、店の決めとして 伝えるか 個人の話として 伝えるかで 受け取られ方が まるで 違います。
書いた物が 1 つ 在ると 早うございます
⭕ 言葉で 伝えるだけだと、伝えた人と 伝えていない人が 出ます。 ⚠️ ⭕ 立派な物でなくとも、席で 見せられる物が 1 つ 在れば 済みます。
誰が 線を 動かせるか
⭕ 上限より、【誰が 例外を 出せるか】の方が 効きます。
出せる人を 一人に する
⇒ ⚠️ ⭕ その場に 居る方が 誰でも 例外を 出せるなら、上限は 在っても 効きません。 ⭕ 出せる人を 一人に すると、例外の数が そのまま 数えられます。
例外を 出した事を 残す
いつ / どなたに / いくら / なぜ / 誰が 出したか
⇒ ⭕ 残っていれば、例外が 増えた時に 気づけます。 ⚠️ ⭕ 残っていないと、例外が 常になった事に 誰も 気づきません。
例外が 続いたら 線の方を 見直す
⭕ 同じ方に 3 度 例外を 出しているなら、それは 例外では ございません。 ⇒ ⚠️ ⭕ 線が 実態に 合っていないか、⛔ その方が 線の外に 居るかでございます。
揃える 順(1 か月)
第一週 …いま 抱えている分を 3 つに 分けて 数える
第二週 …額と 刻の 線を 決める
第三週 …その場で 言う言葉を 1 つ 用意する
第四週 …例外を 認めてよい人を 1 人 決める
⚠️ 第三週を 飛ばすと、線を 貼っても 越えられます。
第一週の「3 つに 分けて 数える」は、額で 分けるのでは ございません。 取り立てられるか どうかで 分けます。
一 いつ 払っていただけるか 分かっている分
二 相手は 覚えておられるが、いつかは 決まっていない分
三 こちらしか 覚えていない分
⇒ 三が いちばん 重うございます。額が 小さくても、これは もう 回収の話では ございません。 ⇒ ⇒ 三を 数えると、たいてい 店が 思っていた より 多うございます。
第二週で 決めるのは 額だけでは ございません。刻でございます。 「5 万円まで」と 決めても、いつまでに 払っていただくかが 無ければ 溜まります。 ⇒ 額と 刻は 両方 決めて 初めて 線に なります。 ⇒ ⇒ 刻の 方が 効きます。額は 大きい方が 目立ちますが、 溜まるのは たいてい 小さい額が 長く 残る形でございます。
第四週の「例外を 認めてよい人を 1 人」は、認めない人を 決める事でもございます。 その方以外は 認められませんので、現場は 断りやすくなります。 ⇒ 「私では 決められませんので」が 使えるだけで、その場は 収まります。 ⇒ ⇒ 誰でも 認められる形は、現場に いちばん 重い荷を 負わせます。
法の側は こちらで 判じない
貸したお金の 扱いには 法の決まりが ございます。 時効・書面の形・請求の仕方などは 顧問の弁護士様の持ち場でございます。
⚠️ この頁で 申し上げているのは 店の中の 線の引き方と 記録の形だけでございます。 ⇒ 古い分を どう 扱うか(諦めるか 続けるか)の 判断も、 額が 大きい時は 先生に お確かめください。
よくある問い
Q. 線を 引くと お客様が 離れませんか。 ⇒ 離れる方も おられます。⚠️ ただし 取れない分の方が 高くつきます。
Q. 一律にすべきでしょうか。 ⇒ 一律でなくて 構いません。⚠️ ただし 誰が 決めるかを 先に。
Q. キャストの客の分が 止められません。 ⇒ 現場に 任せないでください。⚠️ 立て替えが 起きていないかを 見てください。
Q. 古い分は どうすれば。 ⇒ 取れない前提で 額として 分けて持ってください。⚠️ 総額に 混ぜない。
Q. どこから 手を付ければ よろしいでしょうか。 ⇒ いま 抱えている分を 3 つに 分けて 数える事でございます。
段の 組み方は 別の頁に ございます
この頁は「止める/回収する」の話でございます。 何日目に 誰が 何を するかの 段の 組み方は そちらに 分けております。
一か月で 何が 変わるか
⭕ 総額より先に、現場の 迷いが 消えます。
その場で 判じなくてよくなります
⇒ ⭕ 線が 在れば、その場に 居る方は【決めを 伝えるだけ】でございます。 ⚠️ ⭕ 判じる役を 現場に 置かないのが、いちばん 大きい変わりでございます。 ⇒ ⇒ 判じさせると、断った方が 恨まれます。
誰の分か 分からない物が 増えなくなります
⭕ 線に 触れた時に 一度 締めるので、そこで 誰の分かが 確定いたします。 ⚠️ ⭕ 3 か月 経ってから 遡ると、たいてい 分からなくなっております。
例外の数が 見えます
⇒ ⭕ 月に 何度 例外を 出したかが、そのまま 線の 合い具合でございます。
例外 0 …線が 緩い見込み
例外 1-2 …合っております
例外 5 以上 …線が きつすぎるか、出せる人が 多すぎます
そして 回収の話が 減ります
⭕ 止める線が 在ると、回収する物 自体が 減ります。 ⇒ ⚠️ ⭕ 回収を 強めるより、増やさない方が 先でございます。 ⇒ ツケの回収 ── 貸したつもりが無いのに 貸している
3 つだけ お持ちくださいませ
一 一か月目に 総額が 止まって見えるのは 中身が 入れ替わっているからでございます
二 上限より【誰が 例外を 出せるか】の方が 効きます
三 同じ方に 3 度目の 例外を 出しているなら それは 例外では ございません
記録が残る所に置く
上のどれも、ツケが 客ごとに 残っていないと 出せません。
伝票の端に書く・手元の控えに書く形だと、総額も 古さも 担当ごとの偏りも 出ません。⇒ 線を決めても 守れません。
tasteck では、来店と会計が 客ごとに残り、未収の額と 最終来店日が 付きます。「いま在るツケ・いちばん古い日付・担当ごとの偏り」が 1 つの表になります。
⚠️ ただしツールは最後です。**先に 上の 3 つを 手で数えてください。**1 度数えれば、線を決める気になります。