体験入店から本入店までの歩留まり ── 落ちているのは面接ではなく初日
体験入店の数は数えているのに、そこから何人が続いたかを数えている店は少ない。歩留まりの測り方と、落ちる場所が「面接」ではなく「初日の3時間」であることが多い理由。
求人媒体に払った額は分かる。応募が何件来たかも分かる。体験入店が何人だったかも、たいていの店は数えている。
そこから先を数えている店が、ほとんどありません。
体験入店 10 人のうち何人が本入店したか。本入店した人のうち何人が 1 か月後も出ているか。この 2 つを続けて出せる店は、私たちが見てきた範囲ではかなり少数です。
数えていないので、採用がうまくいかない時に「媒体が悪い」以外の答えが出てきません。
3 つの数字で足ります
一 応募 → 体験入店 …来ると言った人のうち 実際に来た割合
二 体験入店 → 本入店 …来た人のうち 続けると言った割合
三 本入店 → 1 か月後 …続けると言った人のうち 実際に出ている割合
この 3 つを月ごとに並べるだけで、どこで落ちているかが見えます。全部を一度に良くする必要はありません。いちばん低い 1 つだけを見ます。
一が低い場合 ── 連絡の速さ
応募したのに体験入店まで来ない。これは中身の問題ではなく、たいてい返信までの時間です。
夜の仕事を探している人は、同じ日に複数の店へ応募します。先に返信が来た店から順に予定が埋まります。半日空けると、その人はもう別の店の体験入店に行っています。
ここは店の中身を変えずに動く数字なので、いちばん先に見る価値があります。
⚠️ ただし「速くする」を人の心がけに任せると続きません。誰が返すか・何分以内かを決めて、返した時刻が残る形にするところまでが 1 組です。
二が低い場合 ── ここが本題です
体験入店には来た。でも本入店しない。
店側の解釈はたいてい「合わなかった」「本人が続かなそうだった」で終わります。ですが、体験入店の当日に何が起きたかを書き残している店は、まずありません。
書き残していないので、10 人が来なかった理由が 10 通りの記憶になり、共通点が見えません。
実際に多い落ち方
誰が見るか決まっていない。 その日いちばん手が空いている人に付ける、という運用になっている店が多いです。手が空いている人は、たいていいちばん教える経験が少ない人です。
待たせている。 体験の人が最初の 30 分から 1 時間、何もせずに立っている。店は忙しいので悪気はありません。ですがその 1 時間で、その人は「ここでは誰も自分を見ていない」と判断します。
その日の稼ぎが読めない。 体験入店の日に指名が付くことは稀です。何も説明しないと「この店は稼げない」という印象だけが残ります。通常の日にどうなるかを、数字で 1 回言うだけで変わります。
帰り際に何も決まっていない。 「じゃあまた連絡します」で終わる。連絡すると言った側が連絡しないまま数日経つ、というのが最も多い失注です。
書き残す形
大げさな記録は要りません。体験入店の当日に 4 行だけ。
誰が付いたか
待たせた時間(だいたいで可)
本人が聞いてきたこと(1 つでも)
帰り際に決めたこと(次はいつ・誰が連絡する)
これを 20 人分ためると、共通点が出ます。**多くの店で、付いた人と歩留まりに はっきりした差が出ます。**それは相性ではなく、教え方が属人的だという話です。
三が低い場合 ── 最初の 2 週間に持ち主がいない
本入店したのに 1 か月で消える。
このとき店側は「採用の見る目がなかった」と考えがちですが、実際には入ってからの 2 週間を誰も担当していないことが原因である場合が多いです。
体験入店の日は誰かが付きます。本入店した翌週からは、もう普通の人として扱われます。まだ何も分かっていない人にとって、その落差は大きい。
⚠️ **見分け方は 1 つです。**続かなかった人について「最初の 2 週間、誰が担当でしたか」と聞いて、名前が出てくるかどうか。
出てこないなら、それは採用の問題ではありません。
数字の使い方で 1 つだけ注意
歩留まりを上げること自体を目的にしないでください。
**体験入店の合格基準を下げれば、二の数字はすぐ上がります。**そして三が下がります。全体では悪くなっているのに、見ている数字だけが良くなる。
3 つを必ず並べて見るのは、そのためです。1 つだけ見ると、その 1 つを良くする方向へ運用が歪みます。
媒体の評価が変わります
この 3 つを媒体ごとに分けると、応募単価では見えないものが出てきます。
応募が安く取れる媒体でも、体験入店に来ない、あるいは来ても続かないのであれば、1 人続かせるのにかかった額は高くなります。
比べるべきはここです。応募 1 件の値段ではなく、1 か月続いた 1 人あたりの値段。同じ予算の中で、媒体の順位が入れ替わることが珍しくありません。
記録が残る所に置く
この 3 つが出せない理由は、たいてい熱意ではなく置き場所です。応募は媒体の管理画面、体験入店の記憶は店長の頭、シフトは別の表。この 3 つが繋がっていないと、月末に突き合わせる作業が発生し、そして続きません。
tasteck では、キャストの登録・体験入店の記録・シフトの出勤実績が同じ場所に残ります。「先月の体験入店 8 人のうち、いま何人が出ているか」が、思い出す作業ではなく 1 つの表になります。
⚠️ 道具の話は最後です。先に 4 行を書き残すところから始めてください。それだけで、20 人ぶんたまった時に見えるものが変わります。