値上げを いつ・どう伝えるか ── 離れる客と 残る客は 別のもので決まる
値上げで離れるかどうかは 額よりも 伝え方と刻で決まる。伝える相手を 3 つに分ける方法と、いちばん失敗する形(黙って上げる)が なぜ いちばん高くつくか。
原価も 人件費も 上がっています。値上げは避けられません。
それでも 多くの店が 踏み切れないのは、**「常連が離れる」**が怖いからです。
⇒ ここで 1 つ、実際に起きていることを先に置きます。
離れる訳は 額ではないことが 多い
値上げで離れた客に 後から聞くと、額そのものより
一 知らされずに 上がっていた
二 会計の時に 初めて分かった
三 自分だけ 上がったように 感じた
の方が よく出ます。⇒ 額ではなく 段取りです。
⚠️ そして この 3 つは どれも お金を使わずに 直せます。
いちばん高くつく形 …黙って上げる
「言わなければ 気づかれない」は、いちばん危ういです。
気づく客は 必ず居ます(毎回 来ている人ほど 覚えている)
⇒ その人は「黙って上げられた」と受け取ります
⇒ ⇒ 額の話ではなく 【信用の話】 になります
額の不満は 慣れますが、黙って上げられた事は 慣れません。
相手を 3 つに分ける
全員に 同じ伝え方をすると、いちばん大事な人に いちばん薄く届きます。
一 常連(毎月 来ている)
先に・個別に・言葉で伝えます。
「来月から こう変わります」を 担当から 直接
⇒ 上がる前の来店で 伝わっている状態にする
⚠️ ここだけは 掲示や書き物ではなく 人から。値上げの話は 誰から聞くかで 受け取り方が変わります。
二 たまに来る客(3 か月に 1 度など)
次に来た時に 会計の前に 伝わる形にします。
入店時に 案内する/席の案内に載せる
⇒ 【会計で初めて知る】 を 避ける
三 新規
新しい料金が 最初の料金です。何も要りません。
⇒ **手間をかけるのは 一 だけで足ります。**そして 一 が いちばん売上を持っています。
刻 …どのくらい前に伝えるか
常連へ …1 か月前(次の来店で 伝わる程度)
掲示 …2 週間前
⚠️ 3 か月前は 早すぎます …「まだ先」で忘れられ、上がった時に 伝えていない事になります
幅 …一度に どれだけ上げるか
小刻みに 何度も上げるのが いちばん嫌われます。
年に 1 度 まとめて上げる …説明が 1 回で済む
半年ごとに 少しずつ …【毎回 説明が要り、毎回 不満が出る】
⇒ 回数を減らす方が、額を抑えるより 効きます。
全部を 同じだけ上げない
基本料金を上げる …全員に効く。いちばん目立つ
延長料金を上げる …長く居る客だけに効く
指名料を上げる …指名する客だけに効く(【単価の高い層】)
オプションを上げる …選んだ人だけに効く
⇒ **どこを上げるかで 誰が払うかが 変わります。**総額で同じでも、離れる人は 違います。
⚠️ 目安 …いちばん来る人が いちばん多く払う形にすると、たいてい 離れます。逆にします。
現場に 先に伝える
⚠️ 客より先に 現場の人が知っている必要があります。
聞かれた時に「私も知りませんでした」と言わせると、その場で 店の側の落ち度になります。
一 現場へ伝える(理由も添える)
二 常連へ伝える
三 掲示する
この順が 逆になると、いちばん困るのは 現場です。
隣の頁との 分担
| 何の話か | どちらの頁か |
|---|---|
| いつ・どう 伝えるか(刻と 幅と 相手) | この頁 |
| 来なくなる 前に 出る兆し | 客が来なくなる前に 出ている 3 つの兆し |
| コースを どう 組むか(値上げの 余地を 残す) | コースの組み方 |
| 客単価の 見方 | 客単価の上げ方 |
| 会計の最後で 揉める分 | 領収書で 揉める |
⚠️ 値上げの 前に コースの 組み方でございます。 ⇒ 端数で 作ってあると、上げる時に 必ず 大きく 動く事になります。
黙って 上げると 何が 起きるか
いちばん 高くつく形でございます。順に 起きます。
一 会計の最後で 気づかれる(その日でいちばん 直しにくい刻)
二 現場が その場で 答える(人によって 答えが 違う)
三 前は 幾らだったかを 訊かれる(記録が 無ければ 答えられません)
四 静かに 来られなくなる
⚠️ 四 は 数に 出るまで 3 か月ほど かかります。 ⇒ ⇒ その頃には、値上げのせいだと 誰も 思いません。
会計の最後に 出さない
⇒ 領収書で 揉める ⚠️ 決めていない事は、会計の最後に まとめて 出てまいります。
相手を 3 つに 分ける(もう少し 細かく)
| 相手 | 効き方 | 伝え方 |
|---|---|---|
| よくお越しの方 | 額より 知らされ方で決まります | 先に・名指しで |
| たまにお越しの方 | 額で 決まります | 案内で 十分 |
| 初めての方 | 前の額を ご存じない | 何もせずとも 構いません |
⚠️ 一つ目に いちばん 手を掛けてください。 ⇒ ⇒ 離れると いちばん 大きく、しかも 静かに 離れます。
よくお越しの方への 伝え方
「◯月から こちらの料金を 変えさせていただきます。いつも ありがとうございます」
⇒ ⚠️ 理由を 長く 述べないでください。 ⇒ ⇒ 述べるほど 言い訳に 聞こえます。
誰が 伝えるか
前回 お付きした方 …いちばん 自然でございます
⇒ ⚠️ 店の側から 一斉に 出すのは 二番目でございます。
刻(どのくらい 前に)
短い …騙された感じが 残ります
長すぎる …忘れられます
目安の 決め方
その方の 来られる間隔 × 1 回分 くらい 前
⇒ ⚠️ 月に 1 度の方には 1 か月前でございます。 ⇒ ⇒ 半年に 1 度の方に 1 か月前では、次に お越しの時が 初耳になります。
間隔を 知らないと 引けません
⇒ リピート率の測り方 ⚠️ 一律の 1 か月前にすると、間隔の長い方から 離れます。
幅(一度に どれだけ)
小さく 何度も …そのたびに 説明が 要ります
大きく 一度 …驚かれますが、済みます
⚠️ どちらが 良いかは 間隔で 変わります。 ⇒ よくお越しの方は 何度も 気づかれます。⇒ ⇒ 一度で 済ませる方が 収まります。
端数を 使わない
端数で 作る …次に 上げる時に 必ず 大きく 動きます
⇒ コースの組み方
上げた後に 見る数
一 客単価(上がっているか)
二 件数(減っていないか)
三 よくお越しの方の 間隔(伸びていないか)
⚠️ 三 が いちばん 遅く 出ます。 ⇒ ⇒ 一 と 二 だけ 見て「効いた」と読むと、3 か月後に 減ります。
掛け合わせで 見る
客単価 × 件数
⇒ ⚠️ 客単価だけ 上がって 件数が 減れば、合計は 変わりません ⇒ 客単価の上げ方
揃える 順(1 か月)
第一週 …相手を 3 つに 分ける(よく/たまに/初めて)
第二週 …刻を 相手ごとに 決める(間隔 × 1 回分)
第三週 …現場に 3 つ 渡す(訊かれた時の答えまで)
第四週 …上げた後に 3 つの数を 並べ始める
⚠️ 第三週を 飛ばすと、現場が その場で 判じます。
よくある問い
Q. 理由を 説明した方が よろしいでしょうか。 ⇒ 短く 1 行で 十分でございます。⚠️ 長いほど 言い訳に 聞こえます。
Q. 一斉に お知らせしてよいでしょうか。 ⇒ よくお越しの方には 先に・名指しで。⚠️ 一斉は その後で 結構です。
Q. どれくらい 上げてよいのでしょうか。 ⇒ 幅より 相手と 刻でございます。⚠️ 離れる訳は 額でない事が 多うございます。
Q. 上げた後 数が 落ちません。 ⇒ ⚠️ 3 か月 見てください。よくお越しの方は 静かに 間隔が 伸びます。
Q. どこから 手を付ければ よろしいでしょうか。 ⇒ よくお越しの方へ 先に 伝える事でございます。ここが すべてでございます。
上げない事にも 費えが 在ります
上げる …説明の手間と 少しの離れ ── どちらも 目に見えます
上げない …仕入と人の上がりが、そのまま 利から 出ております
⚠️ 上げない事も【毎月 払っている決め】でございます。 ⇒ 上げる時の怖さは 数えられ、上げない時の費えは 数えられません。 ゆえに 判断は いつも【上げない】側へ 傾きます。
既に払った分を 先に 出す
前に上げた月から 今日まで、仕入が いくら 上がったか
⇒ ⚠️ この差が【既に お店が 被った分】でございます。 幅を決めるのは、この数を 出してからで 結構でございます。
小さすぎる幅の方が 高くつきます
上げる手間 …伝える・説明する・少し離れる
その手間 …幅が 1 割でも 2 割でも ほぼ 同じ
⚠️ 小さく上げると、同じ手間を 近いうちに もう一度 払う形になります。 ⇒ 一度で 済む幅にする。ただし 上の【幅】の項の上限は 越えません。
2 度に分ける方がよい時も 在ります
上げ幅が 上限を 越える時 …2 度に分ける
その時は【2 度目の刻も 先に伝える】
⇒ ⚠️ 黙って 2 度目が来ると、1 度目の説明が すべて 嘘になります。
離れた方を 値で 追わない
値で 戻す …次に上げる時に また 同じ事になります
頻度で 追う …間隔が伸びた方へ 声を掛ける
⚠️ **幅で離れる方は 幅で戻られます。**その方を 値で引き留めると、 店は【上げられない店】になります。 ⇒ 追うなら 値ではなく、お越しの間隔でございます。
現場が 訊かれた時の 言葉を 渡す
いつから / いくら / 訊かれたら 誰へ回すか
⚠️ これを渡さないと、現場が その場で 判じます。 人によって 違う答えが 出て、後から 揃えられません。
⛔ 詫びから 入らせない
「申し訳ございません、上がりまして…」 …悪い事をしたと 双方が思います
「◯月から ◯◯円になります」 …事実と 刻だけ
⇒ ⚠️ 謝らせない言葉を、こちらから 渡してください。 現場が 謝る形にすると、その値が【謝るべき値】として 定まります。
記録が残る所に置く
上のどれも、誰が常連で・最後にいつ来て・誰の担当かが 分からないと できません。
tasteck では 来店と担当が 客ごとに残るので、「先に伝えるべき人」の一覧と、**「上げた後 30 日 来ていない常連」**が そのまま出ます。
⚠️ ただしツールは最後です。先に 上の 3 つ(誰に・いつ・誰から)を 決めてください。
値上げで失うのは 額に納得しなかった人ではなく、知らされなかったと感じた人です。